6学園テキスト

□愛するきみとランチ
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《愛するきみとランチ》


***




「紫苑、今日はネズミはいないの?
休み?」




「うん。
今日は舞台の稽古なんだって。
どうしても行かないとって、朝出て行った」




「(沙布、チャーンス!)

そうなの。

ねぇ紫苑?
久しぶりに一緒に昼ご飯食べない?

生徒会室、今日は誰もいないから。
のんびりご飯食べましょ?

(誰かいるようなら追い出すまでだわ)」




「ああ、いいね。
じゃあ、一緒に食べよう。


でも、今日は学食がいいんだ…Aランチ、唐揚げの日だから。

…だめ?」




「(! 可愛い紫苑…)

ううん、紫苑が食べたいものでいいわ。
学食、行きましょう

(密室で二人っきり作戦が…
ま、まあ、二人でご飯食べられるだけいいわ)」







『今日、ネズミ様お休みなのー?』


『紫苑くん、沙布様と二人でランチしてるー!』


『うおおぉっ!
羨ましい…羨ましいぜ…!
おれだって、沙布様と飯が食いたい!』


『今日ネズミ様には会えないんだあ〜…がっかり』


『でもやっぱりあの二人、お似合いっていうか…まとう空気が違うわね〜』


『きゃっv沙布様今日も美人〜!!』


『沙布会長を独り占めしやがって…紫苑、許さん!』




「な、なんか…雑音ていうか雑念ていうか、怨念ていうか…
ものすごく感じるんだけど…」




「…そうね、なんだか騒がしいわね…。

(せっかくのランチなのにー!
静かにしてよ!
まったく、気が利かない生徒達ね!)」




「あっ」




「…?どうしたの、紫苑?」




「今日のAランチ、サラダにアスパラが入ってる…」




「アスパラ…。

ふふふっ。
紫苑、昔から苦手だったもんね」




「これは…これだけは…やだ」




「じゃあ紫苑。
私にちょうだい?」




「…うん。ごめんな」




「気にしない気にしない。
昔からいつも食べてあげてたじゃない。


ほら、紫苑。ちょうだい?


あーん」




「えっっっ!!

さ、沙布、それは!!」




「んー、なーによー。
今までだってこうしてくれてたじゃない。
今更恥ずかしがらなくたって」




「あ、あれは小学生の時の話だろ!!
さ、さすがに、こんなに人がいるところ…恥ずかしいよ」




「何言ってんの。
誰も見てないわ。
みんな、自分のご飯に夢中よ」





『『『『『
み、見てますよ!沙布様!!!
』』』』』
(沙布信者の心の声多数)





「う、うーん」




「紫苑。
食べさせてくれなきゃ、もらってあげないからね」




「もう…。脅しだよ…。



…沙布、あーん」




「あーーーv」



《グキッ》




「んっ。

…おれもアスパラ、あんまり好きじゃない。
美味くもまずくもないな」




「い、いたぁーーー!!
手が、手がっ」




「ネズミ!!
な、なによ!
あんた今日は、稽古なんじゃなかったの!?」




「うん、そう。
でも午前で終わっちゃったから。
戻ってきた」




「(もーーーーっ!
余計なことを!!)」




「いたたぁ…
ネズミ!!!
思いっきり手首の向き変えただろう!
変に痛めたらどうするんだ!」




「ただいまハニー。


だって。
紫苑が会長に食べさせてやろうとしてたのが妬けたんだもん。
ったく、おれがいないからって、軽々しく浮気するんじゃありません」




「う、浮気って!
なんにもしてないだろ!」




「しようとした。

…紫苑。
会長に食べさせようとしたなら、おれにもしてよ。

く ち う つ し、でv」




「っ!!するわけない!」




「はいはい。
素直じゃないんだから。

じゃあお部屋に戻ったら、じっくり…ね?」




「ああああ!もうっ!
邪魔しないでよっ!
この、馬鹿ドブネズミ!!」









08.09.10*

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