6学園テキスト
□愛するきみとランチ
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《愛するきみとランチ》
***
沙
「紫苑、今日はネズミはいないの?
休み?」
紫
「うん。
今日は舞台の稽古なんだって。
どうしても行かないとって、朝出て行った」
沙
「(沙布、チャーンス!)
そうなの。
ねぇ紫苑?
久しぶりに一緒に昼ご飯食べない?
生徒会室、今日は誰もいないから。
のんびりご飯食べましょ?
(誰かいるようなら追い出すまでだわ)」
紫
「ああ、いいね。
じゃあ、一緒に食べよう。
でも、今日は学食がいいんだ…Aランチ、唐揚げの日だから。
…だめ?」
沙
「(! 可愛い紫苑…)
ううん、紫苑が食べたいものでいいわ。
学食、行きましょう
(密室で二人っきり作戦が…
ま、まあ、二人でご飯食べられるだけいいわ)」
*
『今日、ネズミ様お休みなのー?』
『紫苑くん、沙布様と二人でランチしてるー!』
『うおおぉっ!
羨ましい…羨ましいぜ…!
おれだって、沙布様と飯が食いたい!』
『今日ネズミ様には会えないんだあ〜…がっかり』
『でもやっぱりあの二人、お似合いっていうか…まとう空気が違うわね〜』
『きゃっv沙布様今日も美人〜!!』
『沙布会長を独り占めしやがって…紫苑、許さん!』
紫
「な、なんか…雑音ていうか雑念ていうか、怨念ていうか…
ものすごく感じるんだけど…」
沙
「…そうね、なんだか騒がしいわね…。
(せっかくのランチなのにー!
静かにしてよ!
まったく、気が利かない生徒達ね!)」
紫
「あっ」
沙
「…?どうしたの、紫苑?」
紫
「今日のAランチ、サラダにアスパラが入ってる…」
沙
「アスパラ…。
ふふふっ。
紫苑、昔から苦手だったもんね」
紫
「これは…これだけは…やだ」
沙
「じゃあ紫苑。
私にちょうだい?」
紫
「…うん。ごめんな」
沙
「気にしない気にしない。
昔からいつも食べてあげてたじゃない。
ほら、紫苑。ちょうだい?
あーん」
紫
「えっっっ!!
さ、沙布、それは!!」
沙
「んー、なーによー。
今までだってこうしてくれてたじゃない。
今更恥ずかしがらなくたって」
紫
「あ、あれは小学生の時の話だろ!!
さ、さすがに、こんなに人がいるところ…恥ずかしいよ」
沙
「何言ってんの。
誰も見てないわ。
みんな、自分のご飯に夢中よ」
『『『『『
み、見てますよ!沙布様!!!
』』』』』
(沙布信者の心の声多数)
紫
「う、うーん」
沙
「紫苑。
食べさせてくれなきゃ、もらってあげないからね」
紫
「もう…。脅しだよ…。
…沙布、あーん」
沙
「あーーーv」
《グキッ》
ネ
「んっ。
…おれもアスパラ、あんまり好きじゃない。
美味くもまずくもないな」
紫
「い、いたぁーーー!!
手が、手がっ」
沙
「ネズミ!!
な、なによ!
あんた今日は、稽古なんじゃなかったの!?」
ネ
「うん、そう。
でも午前で終わっちゃったから。
戻ってきた」
沙
「(もーーーーっ!
余計なことを!!)」
紫
「いたたぁ…
ネズミ!!!
思いっきり手首の向き変えただろう!
変に痛めたらどうするんだ!」
ネ
「ただいまハニー。
だって。
紫苑が会長に食べさせてやろうとしてたのが妬けたんだもん。
ったく、おれがいないからって、軽々しく浮気するんじゃありません」
紫
「う、浮気って!
なんにもしてないだろ!」
ネ
「しようとした。
…紫苑。
会長に食べさせようとしたなら、おれにもしてよ。
く ち う つ し、でv」
紫
「っ!!するわけない!」
ネ
「はいはい。
素直じゃないんだから。
じゃあお部屋に戻ったら、じっくり…ね?」
沙
「ああああ!もうっ!
邪魔しないでよっ!
この、馬鹿ドブネズミ!!」
08.09.10*