6学園テキスト

□4 盲目だけど妄執で
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成績優秀、スポーツ万能、才色兼備。
それらを自負している私。
幼い頃から、学ぶことは好きだった。自分の知らない知識が増えるのが嬉しかった。
父母がいない環境のせいで、周りはやたらに褒められた。


「沙布ちゃんは偉いね」
「いっぱい勉強して、すごいね」
「おばあちゃんも、嬉しいだろうよ」


それらの言葉は、私のやる気に拍車をかけた。
父母には恵まれなかったけど、それを補うかのように沢山のものに恵まれた。
勉強は好き。どの教科も苦痛じゃない。
運動も好き。身体を動かす気持ち良さを、子供の頃から知っていた。
本を読むのも好き。私の知らない世界が、果てしなく詰まっているから。
……我ながら、学生の模範となるような人間ね。
そして有り難いことに、内面だけではなく外見の評判もよかった。
これに関しては、なんとも言えないけれど。まぁ、自信がないと言ったら嘘になる。
スタイルは普通かな。運動を好んでやるからか、成長期がおさまる頃には引き締まった身体が出来上がっていた。


これらすべてが集まった、私。沙布という人間。
そんな恵まれた才能に嫉妬して、同級や上級生から逆恨みや妬み、からかいは絶えなかった。
でもそういうくだらない陰湿な行いは、すべて自分で打破してきたわ。
だって私には、武器がたくさんあるから。
自分に備わっているすべてを振りかざして、私は私で戦っている。くだらない見栄は張らない。弱さもさらけ出さない。
飾らず、したたかに。それが私のモットーだった。
幼い頃から戦い抜いた揚句に待っていたもの。
それは、学園を任される最高責任者の立場。そして、生徒からの称賛。
くだらないからかいをかける人間は、いつしかいなくなっていた。
それどころか、からかいをかけてきた人間にすらご機嫌伺いされることもあった。
――人間て、すごく低俗なものね。
そう悟ってしまった時には、高い地位と名誉を手にしていた。
今ではもう敵はいないかのように思われるけれど。それでも、私は戦い続ける。
愛する人。あなたを守るために。






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