6学園テキスト

□3 地平線の彼方に居ても
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目の前に居るのは、夢見るくらいに焦がれたきみで。
いつかまた逢えるんじゃないかと、いつも淡い希望を胸に抱いていた。
もし再び逢えたなら、言いたいこと、聞きたいこと、沢山果てなくあるはずだった。
でも、再会はあまりに唐突で。驚きを、隠せなかった。
こんなに急に。酷いじゃないか。まだ、心の準備ができてない。
ぼくはただ呆けてしまい、そのまま。
灰色に捕われた。その瞳は四年前と変わることなく。ぼくを映して、微笑んだ。


「ネズミ…?」











こんにちは、王子様。ご機嫌麗しゅう。
あんたに逢いに、いばらの道越えわざわざ来たんだぜ。
再会したら、どんなお顔を晒してくれるか毎夜楽しみにしていたけど。まったく、予想以上のまぬけ面だ。
くく、笑える。
そして。相も変わらず平和そうなご様子。
あんたのその楽観を賜りたくて、やっとここまで来たんだよ。
真っ直ぐ見つめて、名を呼んでくれ。
勿論、忘れたなんて言わせない。
耐え忍んできた四年間。汚れないままでいてくれただろうな。


紫苑。






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