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□支える手、癒す熱。
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あの時、頭の中で何かが弾けたような感覚だった。
一瞬のことだけれど、風景がコマ送りされるように緩やかに過ぎた。
その前のことなら、かろうじて覚えている。
兵士が現れて
きみが、その中の一人を包囲した。
刹那、拍手。
歪んだ笑み。
――羅史。
……踊るように倒れた
“母さん”。
きみの鮮血
きみの、重み。
羅史の声が響き
きみの命に、銃口が向けられた。
覚えているのは、ここまで。
そのあとは……すべてが同時だった。
銃声
転倒
紅い花
咳き込み
血の匂い
水の冷たさ
教官!
壁が閉まる
…………しおん?
*