6テキスト

□支える手、癒す熱。
2ページ/9ページ


あの時、頭の中で何かが弾けたような感覚だった。
一瞬のことだけれど、風景がコマ送りされるように緩やかに過ぎた。

その前のことなら、かろうじて覚えている。





兵士が現れて

きみが、その中の一人を包囲した。

刹那、拍手。

歪んだ笑み。

――羅史。

……踊るように倒れた

“母さん”。

きみの鮮血

きみの、重み。

羅史の声が響き

きみの命に、銃口が向けられた。







覚えているのは、ここまで。
そのあとは……すべてが同時だった。








銃声
転倒
紅い花
咳き込み
血の匂い
水の冷たさ
教官!
壁が閉まる





…………しおん?






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ