6テキスト

□支える手、癒す熱。
1ページ/9ページ



ぼくを
おれを

支える手。







きみが、泣いている。
ぼくの、肩口にもたれて。
きみが――あの、きみが。
泣いている。

その涙の意味……口に出したらきみに怒られてしまうだろうけど。
思い違いでなければ、ぼくの為――

――ぼくの、為?








可笑しい。自分でも、滑稽だと思う。
おれが、泣いている――だと?
舞台でならまだしも、意識していない涙、だなんて。
おれ、そんなものまだ流せたんだな。

馬鹿げてる。何の為に、だ。

なんの――

――あんたの、為?





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ