☆佐助×幸村☆

ほおずり
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「……いや、やはり信じられぬ!貴様は誰だ、何者だ!?」


幸村は被り振って頭を掠めた考えを掻き消す。いきなり現れて『犬の佐助です☆』など言われてもすぐに飲み込む事など不可能だ。姿形は似てても余りにムチャ過ぎる。


「疑い深いなぁ…。じゃあオレ様が佐助だって証拠見せてあげる」


「……なに?」


男の目が鋭く光った気がして幸村は体を更に縮めた。嫌な予感がする。
男が自信たっぷりの笑みを浮かべて近寄ってくる、壁際に追い詰められた幸村はキッとそれを睨みつけた。
それには流石に佐助も困ったように苦笑いする。まるで弱いもの虐めみたいで…だが主人の不安げな影が瞳をチラつくとやはり情が先立ってしまう。


「…そんなに怯えないで…怖くないから…」


「……っん」



優しくあやすような口調で幸村を宥める。手を伸ばして思ったよりも細い肩に手を置いた。



「怖くない。いつもしてた事だよ」


「…!?」


男の端正な顔が近づき、顔が熱くなった。今までこんなに人に近寄られた事はない。目の前が佐助で一杯になった時、幸村はぎゅっと目を閉じた。ふ――、と笑った気配に次いで鼻先に堅く冷たいものが当たる。それは滑らかな表面で、互いの鼻を摺り合わせる行為だった。


「……。」


うっすらと瞼を開く。
目の前の茶色い瞳は優しく揺らいでいた。…そうだ、確かに佐助とこうして鼻先を摺り合わせていた。濡れた鼻先に鼻をくっつけ眼差しを交差させていた。



「……お主…本当に佐助なのか……」



摺り合わせる鼻は濡れても黒くもない。
自分とは同じ人の…若干佐助の方が高いかも知れない鼻筋を摺り合わせながら先程頭を掠めた考えがまた幸村の頭に蘇る。


「信じてくれた?」


にこりと笑った顔はイタズラっぽい笑みで、未だに信じられない気持ちはあるものの幸村は肩の力を落とす。


「まだ…信じた訳ではないが…」


幸村の目が優しくなって佐助は安堵した。その姿は犬だったら尻尾を振ってるに違いないだろう、幸村は少しだけ笑う。



「よかったぁ〜。旦那やっと笑った!オレ様うれしぃ〜!!!」


「むうぅっ!!??」


唇の柔らかい感触に幸村は目を剥く。
確かに佐助にもこうゆう事をしていたが相手が人間だと話は別だ。




「……っぶ、無礼者ぉぉぉおおお!!!!!!」






………………これが人間の佐助との出会いだったが続きはまた後日。


つづく…?
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