☆佐助×幸村☆

愛しのダンディズム
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PM 19:00



オレ達はあのあと雑談をしながらダラダラと時間を過ごした。


日曜日という事もあり午後から伊達ちゃん(正しくは片倉さんのマンションだけど)の家に入り浸っていたんだよね。



伊達ちゃんの造った『幸村』を見せてもらったりしてすっかり日が暮れてしまった。


時計を見上げると7時になっていて、そろそろ帰んないと叔父さんが心配するな。…とか考え始める。



「そろそろ帰るわー」


「おう、そんな時間か」


オレは重い腰を上げると伊達ちゃんも立ち上がる。幸村は何が始まるのかとオレ達を交互にみた。


「…じゃあね、幸村。伊達ちゃんの言うこと聞くんだよ〜」



オレは手のひらを軽く降る。まだ幸村は「ばいばい」の意味が分からないんだろう。


反応が無いがオレは特に気にせず伊達ちゃんの家を出た。






「…どうだった?」


「なにが?」



伊達ちゃんがエレベーターまで送ると言うのでオレは断ったのだけど、我が儘なので結局こうして見送ってもらっている。エレベーターはまだ下の階に居てなかなかな上まで上がってこない。



「『幸村』なんだが」



伊達ちゃんは言いにくそうに顔を伏せた。


「悪かったな、幸村の服の手伝いさせちまって。」


「べっつにー。いいよ、あれくらい。」



オレは笑いながら言った、伊達ちゃんが何をそんなに気にする事があるんだろう。



「幸村も喜んでたろ」



…そういえばそうだ。幸村は洋服を着終わった後、満足気に笑ったんだっけ。思えばあんな顔出来るんだな、『痛い』と騒いだ時も、股ぐらの違和感に複雑そうな表情を浮かべてたっけ。


人間みたいだからあんまり気にしなかったけど。


「本当に人間みたいだよな〜伊達ちゃんスゴいよ!!」


オレは笑顔で伊達ちゃんを見たんだけど、伊達ちゃんが複雑そうな顔をしていたから、ついつい表情を引っ込めてしまった。

何か悪い事を言ったかな。



気まずい空気になりかけ、どうしようかと焦り掛ける。丁度エレベーターが来なかったら何を会話したかな。

考える余裕もなくオレはエレベーターに乗り込む。


「じゃ、明日学校で」


「ああ、またな」


振り向くと伊達ちゃんは普段と同じ様子で安心したけど、早々に一階のボタンを押す。


扉が閉まってオレは無事に地上に降り立った。



高級マンションの入り口、大理石で出来た玄関は広く綺麗に掃除されている。


展示に設置された防犯カメラはマンション内に設置された警備室に繋がってると伊達ちゃんが言っていた。


オレはこの空間が嫌いなんだよね。


監視されてるみたい。
自分とは全くかけ離れた人種しか立ち入れない建物。


伊達ちゃんと友達になれなかったらこんな場所に入る事なんて無かっただろう。


オレは逃げ去るみたいに足早に玄関を駆け抜ける。

ガラスの自動ドアを潜ったらそこは外だ。


少なくともオレが居てもいい世界、外に出ると湿り気を帯びた空気が一気に体に纏わりついた。


ほっとして深呼吸する、空を見上げたら今にも雨が振り出しそうな雨雲が空を占領していた。


コンクリートが湿気る匂いが鼻につく、




急いで帰ろ。


オレは駅まで走る事にした。









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つづく
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