☆佐助×幸村☆

温かみと温もりを
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◇温かみと温もりを◇

濡れた肩を支えて歩く、林の外は戦だった。怒涛の声や生臭い死臭を避けるように二人は傷付いた体を支えあって歩く。

「…もう少しだから旦那。」


佐助は幸村に言った。うなだれる顔は上がる事はない。

「もう少し…もう少しで本陣に着く。」

泥のように重い足で人間一人を引きずって歩く。

体が冷たいのは雨のせいだ。

体を濡しているのは雨なんだ。


引き摺る後に赤黒い水が線を引く。


「頑張って…旦那。頼むよ…―――」


ぐちゅり、――と足元が沈む。ぬるかみに足を奪われても、けして貴方を離さない………。


「頼むよ…、旦那…っ、もう少しなんだ!!」


頬を濡らすのは雨のせい。

貴方の鼓動が聞こえないのも。




――全て雨のせい。





END
 

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