めいん

□奥さまの腕前
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「じゃあ行ってくるアル、銀ちゃん」
「あんま、遠く行くなよ〜」

まるで父親と娘のような会話が玄関から聞こえてきた。朝日が少し差し込む薄暗い部屋、土方は今何時だと腕時計を探していると襖が開き家主が現れた。

「副長さんよぉ、遅い出勤らしいけど、今9時だぜ。まだいいのか」
「いや、起きる。シャワー借りるぞ」
「流しっぱなしすんなよ」
昨日は久し振りの非番で1ヶ月振りに恋人銀時との逢瀬を楽しんだ。けれど1ヶ月振りだと言うのに銀時はいつもと変わらなくそっけない。土方はそれがたまに寂しく思う。

「まっ、いい年した男たちがイチャイチャしてたらキモいか」

熱いシャワーを浴び、土方はやっと目が覚めた。衣服を整え、居間に戻るといつもの軽食と…見慣れない布に包まれた物体。

「なんだ、これ?」
「今日神楽が定春と一緒にピクニック行くってーから弁当頼まれたんだわ。材料余ったから、てめーの分も作ったから持ってけよ」

「…え?弁当っつーか…お前…飯作れんの?」
「作れるに決まってんだろ、自炊歴もなげーしスイーツはパティシエ並だぞ。朝飯もいつも作ってんだろうが」
「朝飯って、食パン焼いて目玉焼き作るくらい誰でも出来るわ!!」
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