めいん シリーズ
□過去の人、未来の人
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「高杉を刺した」
目の前が突然暗くなった。その暗闇の中に一瞬雨の中に佇むこの間の高杉の姿を思い出した。
「攘夷志士で桂小五郎の同郷なんだが………知ってるか?高杉晋助って男」
雨がシトシトと降っている梅雨の終わりかけ。万事屋には非番で恋人に逢いに来た真選組副長、土方十四郎がソファに座っていた。
晩御飯をテーブルに並べていた新八、定春に餌を与えていた神楽に一瞬緊張感が走り、銀時をチラリと見た。だが当人の銀時は台所で後を向いて味噌汁を椀に注ぎ、顔色が見えない。
「名前は聞いたことあるが…知らねーな…」
「そうか」
そう言うと土方は何も言わなかった。
――昔の男が…今の男に刺された…まるで出来の悪い昼メロみたいだ。
この間…高杉が腹を切られていたのは…土方とやりあったからか…
『…幕府の狗に尻尾どころか腰を振ってる癖によ…』
『……てめえが…俺を捨てたんだぜ』