めいん シリーズ
□雨の訪問者
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昔
激しい恋をした
与えるとか労わるとか慈しみあうとか
そんな言葉は欠片も見つからず
貪りあって奪い合うような恋
もうあんな恋はしないだろうと
出来ないだろうと
今でも思ってる
鬱陶しいほどの雨が続く6月。
賭事で珍しく大漁だった銀時は帰り道、片手に戦利品の食べ物や日用品を持ち唐傘を差しながら雨の中を歩いていた。
万事屋の目の前の道に入ると雨で視界が悪くなる中、スナックお登勢の看板に電気が点いていた。
鼻歌を歌っているところに、銀時の目の端に電信柱の陰から人影が見えた。
顔は良く見えないが…その着物は見たことのある女物の派手な柄で…
目を見開く
「高…杉…?」
問いかける銀時の言葉に、そいつはゆっくりと顔を上げた。見知った顔の隻眼の男が傘も差さずに濡れていた。