Story-歪アリ-
□お風呂 -猫アリ-
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「ふぅ…今日も疲れたぁ」
お風呂の中で体育座りをしながら、ボーッとチェシャ猫のことを考えていた。
なんであんなに口がさけてるのかしら。
誰かに口の両端を切られたとか?
しかもフードを深くかぶってて、顔は謎だし…。
それに、首を切られても、フードは少しもズレないってどういう仕組みになってるんだろ。
そんなに他の人に見られたくないぐらい、チェシャ猫の顔ってやばいのかしら?
ハゲ…だったりして。
大根みたいな顔かもね…
色々妄想しているうちにおかしくなってきて、吹き出してしまった。
「チェシャ猫…」
私の口から自然と出てきた名前。
「なんだいアリス」
…え?
キョロキョロと辺りを見回してみる。
チェシャ猫の姿は、ない…。
でも今確かにチェシャ猫の声が…
ふとお湯のところに目をやると、三日月を横にしたようなものが…
…ん?
三日月を横にしたような…?
すると、お湯の中からあのにんまり顔が出てきた。
「っ…きゃあああぁああぁ!!?」
****
「…痛いよアリス」
叩かれて赤くなった頬をさすっているチェシャ猫。
「当たり前じゃない!
い、いきなりお湯の中から出てきて!
それより、チェシャ猫どうやって出てきたの?
最初はいなかったのに」
「…アリスが僕を呼べば、僕はどこへでも行くよ」
「…う、嬉しいけど…いくらなんでもお風呂の時は…。
それに呼んだわけじゃないよ?」
「…なんで?僕は嬉しいよ」
チェシャ猫の最後の言葉を聞いて、頭に「?」が浮かんだ。
「嬉しいって?」
「僕の事を考えてくれてたんだなって。
それに……」
「…それに?」
「服を着てないアリスを見れたから」
平然と言うチェシャ猫。
だんだんと顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。
「チ…チェシャ猫の変態!」
―バチンッ
チェシャ猫に2回目のビンタをお見舞いしてやった。
これからチェシャ猫の名前を言う時は、場所を考えて言おうと心に決めたアリスだった。
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チェシャ猫が軽く?
変態猫になってる…