風シリーズ

□婚約者…だと…?
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「ただいまぁーッ!!!」


二階の自分の部屋でいつもの四人(獄寺くんと山本とあとヒバリさん)で宿題のプリントをやっていると何やら久し振りな声が聞こえた(ヒバリさんは宿題とは無縁)この声は…と二階から降りて玄関へ行くと、風さんの首根っこを掴んだ父親が左頬に青痣のおまけつきで帰還。


「まぁ、あなた〜ッ!!」

「奈〜々〜ッ!!」


出た、夫婦の熱い抱擁が。この夫婦のバカップル振りどうにかならないの?我が両親ながら呆れる。


「どうしたの?その痣」

「これか?聞いてくれよ〜。可愛い娘に殴られたんだよ〜、なでなでして治してくれよ〜」

「もう〜、あなたったらッ」


うっぜぇぇええぇぇッッ!!!!で、その加害者である娘、俺の姉さんはと言うと…


『風さん大丈夫?』

「だ…大丈夫ですッ…」

『ごめんね、バカ親父のせいで…』


母さんを抱き締める時に父さんに投げ捨てられた勢いで下駄箱に頭をぶつけた風さん。大丈夫って言ってるけど全然大丈夫じゃなさそうなんだけど…そんな風さんの頭をなでなでする姉さん。二人共何か嬉しそう。こっちはこっちでまたウザい。


「父さん、とりあえず風さんに謝れよ…」


見兼ねて俺がそう言うと父さんは豪快に笑いながら言い放った。


「娘をたぶらかした男に謝る言葉はない!!」

『ヒバリちょっとトンファー貸せ。このバカ親父咬み殺す』

「あなた、風さんに謝りなさいッ」

「いやぁ〜、ごめんな〜」

『ツナ、私が許す。今すぐこのバカ親父を凍らせろ』


俺もそうしたい。














「いやぁ〜、母さんから貰った手紙にさぁ、刹那に彼氏が出来たって書いてあってバジルの前で思わず泣いちゃったよ」


バカなんじゃないだろうかこの父は。娘に彼氏が出来てバジルくんの前で泣くとか…バジルくんごめん。バカな父でごめんなさい。


『あのさぁ、父さん仕事が仕事なんだし風さんの事知ってるでしょ?はい無問題。OK解散。じゃあ風さんデートの続きしよう』

「でもなぁ〜、アルコバレーノが将来の婿ってのはなぁ…」

「え、婿?私が?」

「だって俺、刹那を嫁に出すつもりないんだぜ」


だぜ、じゃないよ。婿取ってどうすんだよ、風さん困ってるじゃん!!つーか何で風さんと姉さんが結婚するみたいな話してんの!?て言うか父さんにまで公認されてるよこの二人…


『それよりも父さん、何で帰って来たの?』

「刹那ちゃ〜ん、父さんに対して冷たくない?まるで帰って来ちゃいけないみたいに言わないでくれよ〜」

『父さんが帰って来る時は何か面倒事がついて来るから帰って来ない方が安心なの』

「同感」


姉さんの言葉に俺も強く頷けば風さんは苦笑いを零した。


「手厳しい子供達ですね」

「だろ?もうちょっと優しくしてくれてもいいよなぁ。それよりも刹那可愛いだろ?」

「はい、これでもかってくらい惚れてます」

『ふ、風さんッ…』

「どうかしましたか?」

『…私もこれでもかってくらい風さん大好きッ』


始まった。姉さんと風さんのラブラブタイムが。父親目の前にしてよく出来るよな、感心する。娘を取られて悲しいのか涙目の父さんを見て俺は心の中で二人に拍手を贈る。


「で、結局何しに帰ってきたんだよ」


既に二人の世界に突入している姉さんと風さんを放置して俺は再び父さんに尋ねた。するとこのバカ親父、やっぱり面倒な事になりそうな事を平然と言い放った。


「実はさぁ、刹那に婚約者が出来ちゃったから報告に来たんだけどな…」


父さんの言葉を聞いて風さんが目を見開いたまま固まった。俺も言葉を無くして動きが止まった。


「彼氏がいる刹那には悪いんだけどボンゴレの会議で満場一致で決まったからどうしようも出来ないんだこれが…」


笑って言ってる場合か!!今にも暴れ出しそうな空気を纏った風さんがゆらり、と立ち上がった。











婚約者…だと…?
(その婚約者とは誰でしょうか…風さんが低い声で父さんに尋ねた)



ちなみに婚約者はボンゴレ独立暗殺部隊のボス、ザンザスだ。父さんの言葉を聞いて風さんと姉さんの為にもう一度ザンザスを凍らせようか、と俺は真剣に考えた。
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