風シリーズ

□誰ですか?
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彼女の学校が終わったら毎日待ち合わせ。いつもは並盛商店街で待ち合わせをするけれど、今日は彼女の通う並盛高校の校門前での待ち合わせ。ぞろぞろと出て来る生徒達に見られながら彼女を待っていたら背中に軽い衝撃。振り向けば愛しい彼女が背中に抱き着きながら嬉しそうに笑って言った。


『お待たせ』

「全然待っていませんよ」


笑顔の彼女に私も笑顔で答えればまた嬉しそうに笑い背中に頬を擦り寄せて来る。あぁもう可愛い。貴女って人はどうしてそう可愛い事をするんですか。


「え?沢田の彼氏?」

「沢田って1コ上の先輩と付き合ってなかった?」

「すぐに沢田から別れたって話だけど」

「マジかよ俺狙ってたのに…」

「ムリムリ。沢田狙ってる奴多いじゃん」


…………。イーピンからの手紙で彼女がよくモテると言う事は知っていたが目の前にするとあまり良いものではない。しかも1つ上の先輩と付き合ってた?良い事を聞きました。後でリボーンに頼んでその男の事を調べてもらう事にします。男子生徒達からの妬みの視線が痛いけれど気になりません。それ所か言いたいくらいです。羨ましいですか野郎共、とね…


「沢田センパイ、さようならッ」

『また明日ね、可愛いベイビー達』


挨拶をした後輩と思われる女子生徒達に彼女が投げキッスをすると黄色い悲鳴が上がる。ふ、複雑な心境です…


「刹那さん…」

『なぁに?』

「あまり愛想を振り撒かない様に…」

『女の子にも?』

「強いて言うなら私以外に、です」

『…………』

「解りましたか?」

『は…はい…』


不満そうな表情をする彼女の両肩を少し強く掴んで笑いながら言えば良い返事を頂けました(風さん怖かったんだもん)嫉妬深い彼氏だ、と周りから聞こえてきますけど刹那さんは私 の 恋 人 なので当然です。本当は悪い虫がつかない様に外に連れて出たくない。彼女と歩いているとすれ違う男が振り返るので。そうですね、彼女が高校卒業したら嫁に来てもらう事にします。そこまで考えて私は思い出した。彼女の父親の事を。


『? どうしたの?』

「いえ…何も」


歩いていた足を止めてじっと彼女を見つめれば不思議そうな顔をする。そうだ、彼女はボンゴレファミリー10代目ボス沢田綱吉の姉なのだ。
彼女にもまたブラッド・オブ・ボンゴレが備わっており、かつてはあのザンザスを差し置いて10代目ボス候補にも名前が上がっていた、とリボーンが言っていた。それを阻止したのが彼女の父親である門外顧問の沢田家光。顔は知らないけれど彼の噂は聞いた事がある。何でも史上稀に見る愛妻家で二人の子供をこの上なく愛している、と。これは非常に厄介だ。刹那さんを嫁に貰うにはこの父親を攻略せねばならない。そしてまず許して貰えないだろうと言う事が安易に予想出来てしまうのがまた辛い。何故なら私はアルコバレーノなのだから。


「…いざとなったら刹那さんをさらってしまいましょう」


ね?、と彼女に言えば何が何だか解らないけど心はとっくに風さんにさらわれてるよ?と言われ…あぁもう襲っていいですか?貴女を嫁に貰う時は家光を殴り飛ばしてでも連れ去ります。握っていた手を強く握り直して再び歩き始めたその時、


「ストォオオップッ!!!!」


叫びと共に繋がれていた私と彼女の手が手刀によって放された。何者、と振り返れば金髪の中年男性。あの、すみません…







誰ですか?
(私と刹那さんの邪魔をするなんていい度胸です)



会いたかったよ刹那――ッ!!と大量の涙を流しながら腕を広げて彼女に飛び着こうとする中年男性に、私よりも速く彼女が右ストレートを決めた。




(寄るなバカ親父)
(え…親父…?)
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