風シリーズ
□キスマーク
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月に一度のはずのアルコバレーノ定例会議。昨日したはずの会議は今日も開かれた。緊急会議ってヤツだ。議題は言わずもがな風について。だが肝心な当の本人ときたら…
「あいつ大丈夫なのか?」
「心ここに在らずだね」
魂が抜けかかっていた。原因は昨日だ。俺達アルコバレーノが風の恋愛事情について話していた時間、刹那も守護者達を集めて同じ様な話をしていたらしい(後でツナを締め上げて聞き出したんだけどな)ヘタレの癖に刹那に迫るヒバリを止めたのは褒めてやる。まぁ大事な彼女が他の男に手ぇ出されてたら誰でも助けるんだけどな。問題はその後だ。刹那に迫られてキスされて放心するなんざだらしねぇにも程がある。男ならその場で押し倒すくらいの度胸は見せやがれ。そんなこんなで風が刹那にキスされてから1日経過。このヘタレは例えるなら口から魂が半分だけ出ている感じだ。早ぇ話、死にかけてやがる。仕方ねぇ、ここは俺が一発ガツンとやってやるか。
「おい。いい加減戻ってきやがれ」
リバース1tで風の頭を思いっきり殴ったら顔面から派手に机に突っ込んだ。んで、動かなくなった。ま、死ぬ事はねぇだろ。
「おい、生きてんのかコラ!」
コロネロが風の首元を掴んで激しく揺さぶると、奴は血塗れの顔を勢いよく上げる。
「ちゃお。1日ぶりのシャバの空気はどうだ?」
「私は一体何を…」
「刹那にキスされてずっと放心してたんだ。お前、覚えてねぇのか?」
そう言えば顔を真っ赤にして机に突っ伏す。かと思えば突然叫び出した。ヤベェ、さすがの俺もちょっとコイツが怖い。
「あ"あぁああッ!!!なんですか!?何なんですかあの娘は!!!いきなり、も…ちょっとどうしましょう可愛すぎなんですけど…一体どんな顔をして会えば…」
「キスされたくらいで大騒ぎするな」
「ラルの言う通りだぜコラ!スカルでさえ騒がねぇのにたかがキスくらいでお前は大袈裟なんだよ!!」
「キス、くらい…?解りますかこの重大さが!!相手は刹那さんですよ!?私が好きで好きで仕方ない刹那さんですよ!?貴方に解りますかこの重大さが!!!」
「落ち着け!!揺らすな酔うぜコラ!!」
頭の回転が追い付かねぇらしい。しかも風にとって刹那とのキスはかなり衝撃的ですげぇ取り乱してやがる。
「解りますか…四つん這いで迫られた上に上目遣いで可愛くだめ?、なんて言われた時の私の気持ちが…体勢的にばっちりと見える胸の谷間に目のやり場に困った私の気持ちが!!」
「………(必死だなコラ…)」
「積極的すぎます!!」
「ヘタレでなかなか手が出せないお前相手なんだ。丁度いいくらいだろ」
俺はそう思うんだけどな。いいじゃねぇか。女に迫られるなんて男冥利に尽きるってもんだ。さすがボンゴレ10代目ボスの姉だ、俺が見込んだだけの事はある。
「けど、放心してる間に次に進もうとしたみたいね彼女」
「……え?」
アリアの言葉に全員が風をじっと見る。………成程な。こいつはすげぇ。
「次は確実に押し倒されるね」
「どうやら刹那も相当お前が好きみたいだな」
「くく…立派な所有印だな」
珍しくヴェルデが腹を抱えて笑う。意味不明、そんな顔をする風にアリアが笑いながらファンデーションのコンパクトを渡す。開いて首を見てみろ、と言われた風は言われた通りにコンパクトを開きミラーに自分の首を映す。
「んな"ッ…!!」
キスマーク
(ミラーに映る首に散りばめられた赤い鬱血を見て再び放心する風に俺達は笑う)
食うか食われるかなら100%刹那に食われるだろうと思いつつ、迂闊に浮気は出来ねぇな、と風に言ったら私が刹那さん以外の女性と何かするなんて事は有り得ませんと笑顔で右アッパーをくらった。
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