風シリーズ

□貴女が何よりも
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本日、月に一度のアルコバレーノ定例会議。会議とは言うものの議題なんてものは存在せず、ただ集まって最近あった事を報告したり、日頃抱いているふとした疑問を話してみたり、無駄な知識を披露したり(刹那さんによると無駄知識の事をトリビアと言うみたいです)、まぁ所謂ただの茶話会。今日もまたそんな感じなのだろうと思えばばっちりと議題が上がっていた。ホワイトボードには黒い文字で、風の恋愛事情について、と大きく書かれており、それを見た私は思わず言い放ちました。余計なお世話ですよこの野郎共、と…









「さぁ、詳しく話してもらうぜコラ!」


何処から調達してきたのかデスクライトを私の顔に当てかつ丼を差し出して尋問を開始するコロネロに笑顔で嫌です、と答える。まるで容疑者扱いだが何故彼女との事を、それも詳細に話さなければならないのだろうか。気が強い割に恥ずかしがり屋だとか、ケーキはチョコレートが好きだとか、私だけがしっていればいいんです私だけが!!(強調)


「おい、刹那とはもうヤったのか?」

「……はい?」

「だからヤったのかって聞いてんだ」


何 を で す か !! ……いえ、このにやにやと笑うリボーンの言いたい事は解っています。でもちょっとアレですよ、そう言う事を聞きますか普通。ここは笑って流しましょう。え、何ですか?何故皆さんそんなに私を凝視しているんですか?


「風にそこまでの度胸があったら僕達とっくに子持ちだよ」

「それもそうだな」

「失礼な方達ですね…」

「んじゃ、ヤったのか?」

「…………」

「やっぱヤってねーんじゃねぇか」


何なのでしょうか、この男なら好きな女を押し倒して当然だろ常識的に考えて、みたいな視線と雰囲気は。つまり私に刹那さんを押し倒せと言っているのでしょうか。


「ちなみに聞くが付き合ってどのくらいだ?」

「え、と…3ヶ月、です」


そう答えればラル・ミルチは鼻で笑って下さった。


「風が刹那に捨てられなければヤるのは3年後くらいだな」

「何故私が捨てられるの前提なんですか!!」

「じゃあキスはしたのか?」

「え"ッ…」

「お前…マジかコラ…」


全員に溜め息を吐かれた。そしてリボーンを筆頭に時計回りで計7回ヘタレ、と一言ずつ言われてしまった。


「奥手過ぎるのも考えものだね」

「こりゃ刹那を押し倒すより刹那に押し倒される方のが早いな」


押し倒され…って何を考えているんですか私は!!そりゃあ私も健全な男ですから彼女に色々したい欲求はあります。えぇありますとも。彼女の言葉を紡ぐ赤い唇とか、制服の短か過ぎるスカートからすらりと伸びる白い足とか、ふいに覗く胸の谷間とか……それら全てが起爆剤であり、その度に切れそうになる理性を保っているんです。結構ぎりぎりの所で我慢しているんです。ぎりぎりの所で!!


「紳士を気取っていても化けの皮が剥がれりゃただの獣だなコイツ」

「「「「「同感」」」」」

「でも女の子は意外と男よりもそういう事をしたがるから、彼女が好きで大事に扱いたいのも解るけどいい加減キスくらいしてあげないと不安にさせちゃうわよ?」

「え…そういうものなんですか?」

「自分は愛されてないんじゃないかって余計な心配するわよ」

「それで他の男に走るんだぜコラ!」

「ヤベェな、押し倒されるよりも捨てられるのが早いかもしんねぇな」


もしかしてアリアの言う通り不安にさせてしまっているのでしょうか…愛してない訳ありません、むしろ愛し過ぎて困るくらいです。


「いやでもそんなキスだなんて……心臓止まるかもしれません。でも他の男にとられるのは……あぁでも…」

「ダメだコイツ早く何とかしないと…」










貴女が何よりも
(大切なんです。だからこそ次の一歩を踏み出せません。傷付けるのが怖いから)



同時刻、同じ様な話を彼女がしていたとは露知らず。
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