マフィアと忍者と

□赤いおしゃぶり
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『ちょっと聞いていいかな』

「何でしょうか」

『君、もしかしてリボーンの知り合い?』


そう言いながら赤いおしゃぶりを指差す。


『リボーンは黄色いおしゃぶり。色違いだよね?』

「よくご存知で」

『ふっ…写輪眼を持つ刹那様の洞察眼を侮るな』


そう言って髪を掻きあげてみる。うわ私今かなり美少女ぶり発揮してると思う。ほら、目の前にいる恭弥によく似た赤ん坊も見とれてる。


「何を言っているのか解りませんがナルシストだと言う事はよく解りました」

『…………』


ナンセンス。私がナルシスト…だと…?私が兄さんと同じだとでも言いたいのか。私はナルシストじゃない。あんな兄と同じだと思われたくない。


「笑顔で拳を振り上げてますが…ナルシストと図星を突かれたのが悔しかったんですか?」

『オイコラ赤ん坊。大人をあんまりからかうなよ』

「赤ん坊に対して口悪過ぎですね。教育上よろしくないと思います」


ちょっと可愛いからって言いたい放題言いやがってこのガキ。やっぱこのガキ恭弥の子なんじゃないの?


『痛い思いしたくないよね?お姉さんぶち切れそうなんだけど』

「幼児虐待ですか?どうでもいいですが周りの方達がお嬢さんを不審な目で見てますよ」


赤ん坊の言葉に周囲を見渡すと、奥様と思わしき方達が私を見てひそひそと何か言ってる。


「いやぁね、幼児虐待よ…」

「最近のオンナの子って怖いわぁ…」

『……………』


確かに。でも幼児虐待ではありません、躾です、躾。だがここはやり過ごすに限る。私は目の前の小憎たらしい赤ん坊を抱き上げてこれでもかってくらいの引きつった笑顔で赤ん坊に言う。


『も〜、恭ちゃんってばわがまま言わないのッ、あんまりわがままばっかり言ってるとパパに咬み殺されちゃうぞ〜☆苺はまた今度買ってあげるから、ねッ!!ほら、早く帰らないとパパ帰ってきちゃうよ〜』


と、ある事ない事言いながら青果コーナーから足早に逃げようとする。後ろから奥様方のひそひそ話が聞こえてくる。


「あんなに若いのに母親?」

「最近の子はやる事はしっかりやってるんだから…」

「だからろくに躾も出来ないのよ〜」


ヤバい。暴動起こしたい。お前等今ここに恭弥がいたらそんな事言わない癖によー。だからちょっと脅かしてみよう。


『それにしても恭ちゃんって本当にパパにそっくりね!!』

「何ですかパパって…」

『黙ってなさい(小声)!!やだなぁ、パパは風紀委員長の雲雀恭弥でしょ、パパの名前忘れちゃったの?』

「いや、知りませΣむぐっ…」


赤ん坊の口を手で押さえてちらりと後ろを見ると、さっきまでひそひそと言っていた奥様方は顔を青くしてそそくさと逃げて行く。恭弥すげぇッ!!!私、今程恭弥が凄いと思った事ないよ。うん、でも恭弥が私の旦那とか結構勘弁して欲しい気が……しないでもないかも…




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