マフィアと忍者と
□面接
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「刹那、もっとやれと言いたい所ですが…君の事をもっと知りたいので色々と聞きたいです」
あろう事か六道は僕の脇腹を抓る刹那の手を掴むと両手で包み込む様に握る。
そしてそのまま刹那の手の甲へ口付けると真っ直ぐ刹那を見つめて言った。
「刹那…好みの男性はどんな方ですか?」
『んー…優しい人?気が利く人、とか…』
「そうですか…刹那、単刀直入に言いましょう。僕と契約しませんか?」
『えッ、いやあの…意味が解らないんだけど』
僕も意味が解らない。まさか刹那の体乗っ取って色々するつもり?
「生命保険に加入する訳じゃないですからね。ただたまに二人っきりでお茶をしたり遊びに行ったり…勿論、二人の仲が進展すればそれ以上の事も…」
コノヤロウ…刹那を口説いてやがる。
左手は刹那の手を握り、右手は刹那の頬を撫で…何やってるの?ねぇ、僕の目の前で何やってるの?さぁ刹那、ここは鉄拳制裁だよ。僕が許す。思いっきり六道を殴れ。
『えッ…』
え?何で赤くなってるの?そこ赤くなる所じゃないでしょ?いつもならそこでお仕置でしょ?
見た事もない刹那の表情に驚いて思わず獄寺隼人を見る。
彼は僕の視線に気付くと溜め息を吐き、何やら紙に文字を書き出すとその紙を僕に向かって見せた。
諦めろ。こりゃ骸とくっつくかも解らん。
有り得ない文字が見えた。刹那が六道と?何言ってるの?そんな事絶対認めない。
「おや?顔が赤いですよ刹那」
『いやあの…手を放して欲しいんだけど…』
「何故です?」
『恥ずかしいし…放していいでしょ?』
「僕が許す。今すぐ放しなよ」
強引に刹那の手を握る六道に向かってトンファーを振り下ろす。ソファーに穴が開いたけどそんな事今は気にしてる余裕なんて僕にはない。六道は刹那を横抱き、所謂お姫様抱っこして僕の攻撃を避けたんだから。
「いきなり攻撃してくるなんて危ないですね。刹那に当たったらどうするんです?」
「うるさい。刹那を放せ」
「おやおや嫉妬…ですか?」
「黙れ…」
未だに刹那を抱えたまま僕をからかう様に言う六道に苛々する。いいや違う。最初から僕をからかっていたんだ。コイツは僕の気持ちを知っているから。
「ちょ…やめろヒバリ!!」
再びトンファーを振り上げると山本 武が僕の腕を掴んで止める。
「刹那に当たったらどうすんだよ」
「問題ないよ、刹那なら避けるからね」
『骸、いい加減におろして』
山本 武と睨み合っていると今まで口を閉じていた刹那が六道にそう言った。
「嫌ですか?」
『うん嫌。早くおろせ』
うわぁ…何か僕苛々吹き飛んだ。だって刹那めっちゃ怒ってる。かつてない程怒ってる。凄い不愉快そうに顔を歪めてるもん、幾ら僕でもここまで怒らせた事はないよ。
『私ね、オンナを軽々しく口説く男は嫌い』
「おや…」
『何かお尻も撫でてるし。よって骸に制裁を加えようと思う。恭弥』
「なに……いえ、何でしょうか?」
『縄。それと洗濯バサミ』
お仕置キタコレ。縄と洗濯バサミと聞いてトラウマが刻まれているのか僕の体は震えた。
「あの刹那…これは一体どんなプレΣ痛い痛い痛い痛いッ!!!ちょ!!太股の裏はやめなさい!!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
刹那特製の縄で縛られ、洗濯バサミで体中を挟まれていく六道を見てざまぁみろと思う所か、何故か僕まで謝ってしまう。
でも楽しそうに六道に洗濯バサミをつけていく刹那の笑顔は可愛くて、そんな刹那にドキドキしてしまった僕は立派なMになってしまったのだろうか、と落ち込んだ。
2010.2.15加筆修正