木洩れ日

□お兄ちゃん
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「え…お兄ちゃん?」


刹那の言葉に白蘭は驚いた様子でそう言うと刹那と彼女の兄を交互に見る。骸も同様に二人を見比べると彼女の兄を指差し刹那に尋ねた。


「お兄さん、って…貴女の…?」


その言葉に刹那は面倒臭そうに頷くと、読んでいた本をぱたん、と閉じて溜め息を吐く。


『私のお兄ちゃん。はたけカカシ』

「本当に?顔のパーツが左目しか見えないけど本当に刹那チャンのお兄さんなの?」

「よく見れば似ていない事もない、気がしますね…」


マスクや額当てで隠された顔ではなにがどう似ているのかは解らないが、露になっている眠そうな左目や銀髪は刹那と同じだ。おまけに彼の手にはイチャイチャバイオレンスと書かれた本。これはきっと刹那が読んでいたイチャイチャパラダイスの続編なるものだろう、多分中身もパラダイスよりは過激なんだろう、と白蘭と骸は予想する。


『なんでいるのよ。長期任務のはずでしょ?』

「あ、それね。予定より早く終わったんだよね…それより、」


ぱたん。カカシは先程の刹那と同じ様に本を閉じると白蘭と骸をちらり、と見やる。


「そいつ等が拾って来たって言う男?」

『イズモとコテツめ…』

「で…、お前等一体何者?」


カカシの眠そうな目が鋭くなり、のんびりとした声色も同様に変わる。急に雰囲気の変わったカカシに白蘭と骸の雰囲気も変わった。刹那はそんな三人の男を見て溜め息を吐くとカカシに説明をする。


『森で会って連れて来たのよ。行く宛もないみたいだし、こっちの彼は怪我をしているから治療もしないとね』


刹那はそう言うと骸の腕をぐいっ、と引っ張る。その様子を見て騒ぐ白蘭と、余計に目付きが鋭くなるカカシ。


「刹那」


カカシが怒りを込めた声で刹那の名前を呼んだ。ぴりぴりとした空気がその場を覆い、まさか兄妹で殺し合いをしたりしないよね、と白蘭は些か不安な気持ちになる。


「刹那…」

『なによ、』

「男を里に連れ込んだりしてぇええッ!!!それも二人も!!ダメでしょ何やってんの!!今すぐ元いた場所に戻して来なさいッ!!」

『それはもうイズモとコテツに言われた』

「お兄ちゃんは刹那をそんなふしだらな娘に育てた覚えはありません!!」

『………』


始まったよ…、と刹那は肩を落とす。常日頃からこんな様子なのだろうか、と骸と白蘭は追い付かない思考を巡らせる。


『もーうるさいなぁ…里の中で騒がないでくれる?お兄ちゃんのせいでただでさえ有名なのにこれ以上有名になったらどうしてくれんのよ』


これでも暗部なんだから、と言われカカシもようやく口を閉じる。暗部なのに身元が割れていたら元も子もない。だがカカシは聞かねばならない。彼等が何者なのかを。


「で、そいつ等一体何なのよ」




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