マフィアと忍者と

□居候先決定
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「君は一体何者?」


私とさして歳の変わらない男がそう言った。
何者かと聞かれて簡単に答えたりする程バカじゃない、これでも忍だ。
それよりも私の着ている服には家紋が入っている。
この家紋と私の顔を見て誰か解らないなんて有り得ない。
家紋はうちは一族のもの。
ならば私が"うちはの生き残り"だとすぐに解るはずだ。
年齢と性別からしてうちはを滅ぼした元凶ではないし、それに私と全く同じ顔を持つ奴が一人いる。
なのに 何者 だなんておかしい。
だとするとこの男はうちは一族や兄さん、サスケを知らないと言う事になる。


「聞いてるの?僕の質問に答えなよ」


男は掴んだ私の腕を強く握る。痛いからやめて欲しい。


『私に聞く前に自分から名乗るもんじゃない?』

「聞いてるのは僕だ」


ダメだコイツ、すっごい俺様だと思う。でもそんなに睨んでも全然怖くないよ。
…見た所ここは多分木ノ葉の森じゃない。
崖の下にこんな町があるなんて聞いた事もないし、あったらとっくに木ノ葉の保護下にあるはず。
周囲の気配を探っても忍らしき気配は一つも感じない。
それ所か町全体も争いが起こる雰囲気はない、一言で言うならば平和。


「いつまで黙るつもり?」

『うちは刹那』

「…は?」

『名前よ。私はうちは刹那』


自分の置かれた状況を知るのが先、そう思った私は名を名乗る。
名乗ると男は私の腕を離した。


「そう…じゃあ刹那、君は一体何者?」


いきなり呼び捨て?慣れ慣れしい奴だな、そう思いながらも忍者だと答えると男は怪訝そうな顔をしてみせた。


「忍者?ゲームのしすぎだよ、君」

『ま、信じろって方が無理な話か。ここの世界に忍者はいないんでしょ?』

「何百年も昔にはいたんじゃない?」

『ふーん…』

「それよりもここの世界ってどういう事?まさか別の世界から来たとか言わないよね?」


意外と賢いみたいだ。
私のいる世界では忍はいて当たり前のもの、それがここではいるものだと思われていないのなら、やはり私は別世界に来てしまったのだろう。


『そのまさか、かな…?』

「マジですか」

『多分…』


無表情のままそんな風に言われても困る。
ここが別世界と確信した訳じゃないけれど、とにかく帰り道を探した方がいいかもしれない。


『そういう訳で私はこれで…』

「ちょっと待てテメェ」




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