マフィアと忍者と
□序章
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ガキンッ―――――
刃物がぶつかり合う音が辺りに響く。
ぶつかり合った刃物同士は火花を散らしながらガチガチと音を立てて攻防を続けている。
一瞬の気の緩みが命取りになる忍同士の戦い。
忍の一人は大蛇丸の配下である事を示す音隠れの額当てをした眼鏡を掛けた青年。
もう一方はかつて大蛇丸がいた木ノ葉の額当てをした少女。
「最近木ノ葉の連中がうるさいと思ったら君もかい?刹那…」
『うっさいわね、さっさとサスケを返す様にカマ蛇に言いなさいよバカブト』
少女…刹那の言葉にカブトは苦虫を噛み潰した様な顔をする。
「顔や実力もそうだけど…口の悪さもサスケ君と同じだね。流石は双子…と言った所かな」
三兄弟でまともなのは君だけみたいだけどね、と付け加える。
「兄は同胞殺しで暁のメンバー、双子の弟は力欲しさに里を抜けて木ノ葉の敵である僕達の所…」
『兄さんはともかく、サスケはあんた達がそそのかしたんでしょ』
「人聞きの悪い…彼は自らの意思で大蛇丸様の元へ行ったんだよ…それよりもお喋りをしてる余裕はあるのかな?」
『ないに決まってるでしょ…!!』
刹那の足元でカランと音を立てて石が落ちる。
背後は崖、落ちたら終わりだ。
ましてや相手は自分の担当上忍であるカカシと同等の力を持つカブト。
かつてあの五代目火影である綱手をも追い詰めた程の忍だ、隙を見せたらすぐに落とされるだろう。
元々サスケ同様に自分も狙っているコイツ等が自分を見逃すはずはない、殺される事はないだろうが確実に連れて行かれるのは安易に解る。
情報収集の際にうっかり会ってしまった事に今更後悔する刹那。
「考え事?隙だらけだよ!!」
『ッ!!』
カブトが重なり合ったクナイを弾く。
その弾みで刹那の体は後方へと傾き、体重を支えきれなくなった足元の地面が崩れた。
落ちる――――――
声をあげる暇もなく刹那は崖下へと落下していく。
「しまった…!!」
刹那自身を大蛇丸の元へ連れて行こうと考えていたカブトは落下する刹那に手を伸ばす。
伸ばした手は刹那の指先に軽く触れただけで掴む事は出来なかった。
「……大蛇丸様への言い訳を考えておかないとな…」
女と言えどうちは一族、崖から落ちたくらいで死にはしないだろう。
多少傷があっても構わない、命が無事ならばその方がカブトにとっては都合良く連れていける。
だが、サスケ同様に刹那に異常なまでの執着を見せている大蛇丸からは刹那の体に傷をつけるなと言われていた。
「やれやれ…」
カブトは溜め息混じりにそう言う。
傷があっても自分が治せばいいだけだ…そう考えたカブトは崖下で倒れているであろう刹那を見つけるべくその場から離れた。
その時を最後に刹那が消息を断ったとも思わずに。
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カブト連載か!!
2009.11.14加筆修正