嘆きの地

□いたい
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いたい

いたい

いたい

いたい


いたいよ。





「ぁ…ぅぐっ…」

いたい


なんだろ。

頭の中でリピートされる。


「…ぅ…」

だらし無い喘ぎ声しかでない。

情けない。

思考が回ってるって事はどうやら酸素は体内に入ってるらしい。

撃たれたのに

よく死なないね。




あぁ

みんな

どこに居るんだろ。


跡部は
どうにか抜け出そうとしてるかな。


忍足は
みんな助けるのに変な方向に走らなきゃいいけど。


岳人は
怖がってないかな?
恐怖に飲み込まれてないかな。


ジローは
寝てるかな?
ちゃんと見つからないようにしてるかな?


宍戸は
ちゃんとみんなの事を探してくれてるかな?


鳳は
泣いてないかな?
あの子は泣き虫だから。


樺池は
無事かな…
誰かの盾になりかねないからな…


日吉は
誰かと会えたかな…
たまに暴走しかけるからな…
一緒に居てやりたかったな。



「…っぅ…」


ぽつり



雨だ。



違う。

泣いてる。

俺が?
子供みたいに泣いてる。


「っ…く、ぅ…」


嗚咽まじりの声
なんなんだ。

みんなの事思い出したら、


たいよ


痛い?

居たい?

射たい?

痛い?

遺体?

居たい?

居たい。

居たい!

居たいよ。


全く。

無理だよ。


見なよ。

ほら。
血の池だよ。

髪だって触っちゃったから真っ赤になっちゃった

ジャージもハーパンも真っ赤で

汚くて、醜く生きてる

でも、

それでも、



みんな、


みんなに、
会いたいよ。












「滝!!!」















あぁ、なんだ アイツ

馬鹿じゃないの?
こんな中大声で叫んじゃってさ。

お前も撃たれるよ?


「滝さん!大丈夫ですか!?」

「滝先輩!」

「滝!」



鳳と日吉、宍戸が
駆け寄ってくる。


「今、応急処置しますから!」

「滝!しっかりしろよ!」

「ァ…しし…お…と…」

「喋らないで下さい。死にますよ」

だめだよ。

もう死ぬもん。


最後に伝えたかった。

喉に流れる血を飲み込み、喋った







「ご、めん……みんなと、いた…かっ、た…」



「滝!」

「滝さんっ!!」



そこでふいな眠気が襲った。

なんだろう。

あの3人に看取られたかったのかな?
まぁ、いいや。

わかんない。

次に目を開けた世界に幸せが、ありますように…

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