小説
□愛情表現(※)
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時々、ケイスケの様に素直になれたら、と思う。
体全てで愛を表現してくれるケイスケ。
言葉でも、行動でも。
恥ずかしさから一蹴する事が殆どだが、内心はとろけるような幸せを感じる。
もし自分が。
ケイスケの様に言葉や行動で愛を伝えられたら、ケイスケは幸せな顔をしてくれるだろうか。
そして、今まで以上に自分を愛しく思ってくれるだろうか。
「……キラ………アキラ……?」
ケイスケに肩を揺すられ我に帰る。
「どうしたの?大丈夫?」
「ああ………すまない」
心配そうに覗き込まれ、ついぶっきらぼうに返事してしまう。
「そう?ならあれに乗ろう」
「ああ」
またやってしまった。
心の中で自分を叱咤する。
少しだけでもいいのに。
なのに何故ケイスケにこんな態度を取ってしまうのか。
これでは愛情云々以前の問題だ。
ケイスケの後ろ姿にすまない、と小さく呟いた。
たどり着いたのは、お化け屋敷。
………確か、ケイスケは幽霊の類が苦手だったはずだ。
ケイスケを見るとやはりと言うべきか、心持ち顔が青くなっていた。