小説

□あらしの日は。(※)
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昼間から、とは言ったものの、キスをした時点でこうなる事は何となく分かっていた。
今ならまだ、拒絶すればそれで終わる。それでも承諾したのは、自覚はしていなくとも心のどこかでアキラもケイスケとこうするのを望んでいたから。

だから、今こうしてケイスケに触れられている。
ケイスケの手がアキラの身体を撫で回し、そしてアキラのボトムに手をかけようとした。
またしてもその時。

「冷たっ!?」

ケイスケの情けない声が響く。

「……な、何…?」

二人して天井を見上げる。
そこには、小さいながらも今まで見たことのないシミが一つ。

「これって…雨漏り?」



ケイスケとアキラは同時に呟く。


そして暫くの間。

「た、大変だ!もしかしたら他にもあるかもしれない!俺は台所見てくるからケイスケは玄関の方見てくれ!」

「ええ!?しないの!!?」

「そんなのどうでもいいだろうが、バカ!」

「アキラァ〜…」



さっきまでの甘い雰囲気は何処へやら。
狭い家の中を大の大人がグルグル回る。

「ケイスケ、そっち頼む!」

「う、うん!あ、アキラそこもだ!」

「くそ、きりがないな…」

数少ないボールを雨漏りする箇所に忙しなく置いていく。
雨漏りした箇所は5箇所。
アキラ達よりも遥かに年上のこのアパートは、大量の雨を完全に防げない程古かったのだ。


結局、夕方近くまで作業は続いた。
ようやく落ち着いて来た頃に、外を見ると殆ど雨が止んでいた。代わりに風が凄い勢いで渦巻いている。

「いつもより疲れた気がする…。」

「これじゃああまり休みって感じがしないね…。」

さすがに二人共ぐったりしてへたり込む。

「あ」

思い出したようにケイスケがアキラに向き直る。

「さっきアキラの背中に入ったのって雨水だったんだね」

そう言って、アキラの背中を撫でる。

「ね、さっきの続き………していい?」

さっきの続きと言われて、行為が中途半端で終わっていた事を思い出し、先程触れられていた箇所がむず痒くなってくる。
アキラが何か言う前に、押し倒される。

「今日は風がうるさいから、沢山声上げでもいいよ」

「バカ!誰もするなんて…ンン……」

反論は口付けによって、喉に戻される。
動けないようにケイスケの両手で顔を抑えられる。
舌と舌が絡むと、息苦しさが増す。
抑えつけられている為に、顔を背ける事すら出来ない。
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