小説

□HAPPY BIRTHDAY!(※)
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工場で、アキラはある事に頭を悩ませていた。




来週はケイスケの誕生日。
今までは特に気にしなかった(知らなかったとも言う)が、今回は違う。
二人で生きると決めてからの、初めての誕生日。

…………とはいえ、やはりアキラはケイスケに言われるまですっかり忘れていたが。
それでも、知った以上は明日位、精いっぱい尽くしてやりたいと思う。
幸い、明日はアキラのみだが休みだ。
ケイスケも早番のみで、昼までの仕事だ。


でも、何をすればいいのか?


そもそも、誰かの為に何かした事が無かったアキラには、さっぱり分からない。
誰かに相談するべきだろうか。

でもどうやって?

誰に?

工員達に相談すれば、からかわれるのが目に見えている。
しかし、アキラには相談を出来る知り合いなど存在しない。

「アキラー!こっち手伝ってくれ!」

思考に耽っていると、工場長に呼ばれる。


……………そうだ。


工場長に相談しよう。

あの人なら茶化さないで聞いてくれるだろうし、周りに洩れる事も無いだろう。
そう思い立って、工場長の元へ向かった。
















「お前が相談なんて珍しいな。どうした」

「はい………」

何と切り出せばいいのだろうか。

「ケイスケの事か?」

「はい。………………っじゃありません!!!」

思わず頷いてしまい、慌てて否定する。

「……………し、知り合いの恋人が誕生日らしいんです」

「ほお」

「それで、今まで祝ったり…………した事が無かったから、どうすればいいか分からない…………らしいんです」
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