小説

□触れて、抱きしめて。(※)
1ページ/9ページ

最近ケイスケが全く触れてこない。
…………もう三週間程経っただろうか。





原因は、触れられなくなった前の晩。
先輩が冗談半分で抱きついてきたのをケイスケに目撃されたらしく、その夜はかなり酷く、無理やり犯された。
単なる嫉妬と言えばそれまでだが、久しぶりに見た、ケイスケの狂気だった。

『アキラは………俺だけのものだ………』

『ゃ………痛、ぃ……ケ…スケ!』

『この身体を、誰かに触らせたの?なぁ、アキラァ!!!』

『いっ……あ、ぁ……』





その後は誤解も解け、これでもかという程謝り倒してきた。
しかし、その時の自分の身体の状態が酷かった。
身体の至る所に残る爪痕や噛痕。
繋がっていた部分からは、夥しい量の血が流れた上、次の日には寝込んでしまい、ケイスケは本気で後悔していたようだ。

その時から、戒めの意味も込めてか指一本触れてこない。
触れられないからといって別段ギスギスする訳もなく、毎日普通に生活をしている。

…………ただ。

何か最近自分自身に違和感を感じる。
それが何かは自分にもよく分からない。

違和感に気づいたのはつい三、四日前だ。
ケイスケを見ると、胸の中がモヤモヤして時折不安になる。

「…………やめた」

考えた所で答えなど出ないだろう。
とりあえず風呂に入る事にする。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ