小説
□花見日和
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今日明日はケイスケとアキラ一緒の久しぶりの連休だ。
休みが重なる事は度々あるが、連休が一緒というのは初めての事だった。
そうなればあの男が黙っている訳がない。
「アキラ、今日はいい天気だね!」
「…あぁ、そうだな」
面倒くさいので適当に返事をしておく。
「今日は洗濯日和だね!」
「…あぁ、そうだな」
「布団も干したいね!」
「あぁそうだな」
「こんな日は一緒にいちゃいちゃしたいね!」
「あぁそうだな。……………ん?」
今変な言葉を聞いた気がする。
「本当に!?アキラ、俺といちゃいちゃしたいの!!?」
いちゃ…………………………。
そこでようやく自分の発言の軽率さに気付いた。
とにかく誤解を解かなくては。
ケイスケが暴走するとロクな事が無い。
「ちっ違う!ケイスケ、今のは間違いだ!」
「また、照れちゃって可愛いなアキラは☆」
「照れてない!しゃべり方が気持ち悪いんだよ、ケイスケ!」
語尾に☆マークをつけるケイスケは本気で気持ち悪い。
「大好きだよ、アキラ〜〜〜☆」
「離れろ!!!」
獣の如く飛びかかってくるケイスケを取り敢えず殴っておく。
「ひ、ひどいよアキラァ………」
「うるさい」
ぴしゃりと一喝。
毎回ケイスケのペースに付き合っていたらこちらの身が持たない。
「………ただ俺は、アキラと出かけたりしたかっただけなのに…」
かなり凹んだ様子でケイスケがぶつぶつ喋る。
これじゃあまるで俺が悪いみたいじゃないか……。
捨てられた子犬のようなケイスケを見て、何だか良心が痛む。
「………ケ、ケイスケ」
呼びかけると今にも泣きそうな顔がこちらを見る。
この顔には弱い。
「…べ、別に嫌な訳じゃない……。だから、お前の好きにしろ……」
「………アキラ」
みるみるうちに元気を取り戻すケイスケ。
それとは対象に、恥ずかしくなって弱々しくなっていくアキラ。
ケイスケが距離を縮めてくる。