過去拍手文

□過去拍手文2(5/22〜6/12)
1ページ/2ページ

仕事帰りにふと空を見上げると、真ん丸と光り輝く月がぽっかり浮かび上がっている。

………そういえば今日は満月だって言ってたな。

ケイスケが今朝呟いていたのを思い出す。

最近雨が続いていたせいか、雲一つない。
久しぶりに見た月は、どこか透き通っている感じで、素直に綺麗だと思う。

アキラが歩けば月もどこまでもついてくる。
そして、いつまでも飽きずにアキラを見守ってくれている。
勿論錯覚だというのは分かる。

けれど。

月は家で待つ愛しい人にどこか似ている気がする。

こんな事、ケイスケに言ったらどんな顔をするだろう。

びっくりするだろうか。

それとも、溢れんばかりの笑顔で笑うだろうか。

その顔を思い浮かべると胸がきゅう、となる。
心地よい胸の痛みが、段々と波紋を広げる。

……………ケイスケに早く会いたい。

無性にそう思う。

気付けば足早に帰路を急いでいた。

あと少し。

あと少しでケイスケが迎えてくれる。
いつものように優しく髪を撫でて、抱きしめてくれるだろうか。

そうしたら。

今日位は素直になってみよう。

そして、一緒に月を眺めよう。

二人で見ればきっともっと美しいだろう。

二人の家に着く。

この扉の向こうにケイスケがいる。
逸る気持ちを抑え、ゆっくりとノブを回す。







「おかえり!アキラ」









ただいま。ケイスケ。













あとがき→
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ