アレンくんの部屋
□For you
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生まれてきてくれて
ありがとう
『For you』
「ただ今戻りました〜」
「おかえり、アレンくん」
1ヶ月の長期任務から漸く帰ってこれた。
コムイさん・・・目の下のクマが酷いですよ。相変わらず忙しそうだなぁ。
「無事帰ってきてくれて、安心したよ」
「こんなに長引くとは思いませんでした。さすがに疲れましたよ」
「暫く任務は入れないから、ゆっくり休むといいよ」
「はい」
それから暫く、他愛のない話をした後、司令室を出た。
自室に向かう途中、前方を見ると、リナリーとラビが歩いてきている。
「おっアレン、帰ってたんさね。おかえり」
「おかえりなさい、アレンくん」
「ただいま。リナリー、ラビ」
ふと、ふたりの手元を見ると、それぞれ綺麗にラッピングされた箱や袋を持っている。
「?ふたりとも何ですか?それは」
アレンが指差す物に気づき、リナリーが答える。
「これ?もうすぐ神田が帰ってくるから、プレゼント用意しておこうと思って」
『神田帰ってくるんだ///』
ひさしぶりに神田に会える!と、喜んだのもつかの間・・・。今リナリーが言った言葉が引っ掛かった。
「・・・・え?プレゼント?」
プレゼントって事は・・・何かの記念日とか?
「えっもしかして・・・アレン、今日がユウの誕生日って知らないんさ?」
ふたりとも、僕が知らない事が意外とでも言うように、顔を見合わせている。
「誕生日!!?知りませんよぉ!!そんな事、一言も言ってなかったです!」
お互いが任務に向かう前、いつもの様に神田の部屋で過ごしたが、彼は自分の誕生日が近い事など教えてくれなかった。
いや、神田の性格からして、自分から言うとは思えないが・・・。
リナリーとラビは、神田と付き合いが長いから知ってるのは当たり前だけど、僕だけ知らないなんて、あんまりだ!
ショックで半泣きのアレンをラビが慰める。
「知らなかったんならしょうがないさ〜。今から急いで何か用意するさ!な?」
「そ、そうですよね。考えてみます!神田が帰ってくる前に知れて良かったです。ありがと、ラビ」
アレンは慌ててその場を後にした。