アレンちゃんの部屋

□恋花火
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親友の家でたまたま見た、一冊のアルバム。

そこに写る彼は、とっても不機嫌そうだったけど、その美しい容姿に一目で恋に落ちてしまった。
写真の中の人に恋をして、しかもそれが初恋だなんて知られたら、笑われちゃうかなぁ…。









『恋花火』







「アレン君!これなんてどうかしら?」
「わぁ…綺麗ですねぇ」


親友・リナリーの手には、紺色に百合の花が描(えが)かれた浴衣があった。


今週末、隣町のとある神社でお祭りがあり花火も上がる予定なのだが、そのお祭りに行く事になったのだ。


僕とリナリーと、リナリーの彼氏のラビ、それから……なんと、写真の中でしか見た事のなかった『彼』も誘ったそうだ。
彼はリナリーの幼馴染みで、小さい頃はよく一緒に遊んでいたらしい。
今でも交流は続いていて、誘うのは簡単だったとか(本当かなぁ?)。

何で彼も誘ったのか聞いたら、「あら、気づいてないとでも思ったの?アレン君、神田の事好きでしょ?」だって!
そういえば、写真の事いろいろ聞いたっけ…。
でもさすがは親友。僕の事でわからない事はないようだ。
ちょっと怖い気もするけど、僕の事を一番に考えてくれるそんなリナリーが大好きだった。




「綺麗だけど…僕には似合いませんよ?」
「そんな事ないわ!アレン君、肌が白いから濃い色の方が映えると思うの。こういう落ち着いた色の方が、男は好みだったりするのよ」
「そ、そうなんですか?…じゃあこれで」
「よし!決まりね☆」


お祭りに浴衣を着て行く事になり、持っていなかったから探しに来たんだけど、わりとすんなり決まった。


「さあ、これを着て頑張ってあいつを落としなさい!」
「落とすだなんてそんな…///僕はただいい思い出になればいいかな〜って」
「何を言ってるの!!思い出はこれからたくさん作らなきゃ!!」


本人よりも意気込む彼女に、アレンはたじたじになりつつも、せっかくだから楽しもうと思い直したのだった。
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