アレンちゃんの部屋
□恋花火
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そして当日―
『う〜、緊張するぅ』
待ち合わせは夕方6時、神社の鳥居前。
リナリーとふたりで先に来て、ラビと神田を待っていた。
この辺りでは一番大きな祭りのせいか、人の数が物凄い。
なぜかチラチラとこちらを見ながら鳥居をくぐる男性ばかり…。
きっと僕の隣にいるリナリーがとっても可愛い女の子だからだろう。僕が男だったら絶対、リナリーみたいな彼女が欲しいもの。
やっぱり、浴衣なんて着てこなければ…
「あ!来たみたいよ!」
「Σふえっ!?」
いきなり大きな声を出されビックリして顔を上げると、ラビが手を振りながら歩いてきていた。
ラビの後ろには写真の彼…。
初めて見る生身の彼は、写真以上にカッコよかった。
彼の横を通り過ぎる女性達は皆、頬を染め見惚れている。
しかも、今日は浴衣を着ていて、さらに彼の美しさが引き立っていた。
「ふたりとも、ちゃんと浴衣を着て来たのね。似合ってるわよ☆」
「ありがとさ〜。リナリーとアレンもよく似合ってて、超可愛いさ〜♪」
「ありがとうございます///」
褒められるなんて思ってもいなかったので、ちょっと嬉しくなった。
けど、きっと社交辞令なんだろうなと思うと素直に喜べそうにない。
「でしょ〜?アレン君の浴衣、わたしが選んだのよ☆どうかしら?神田」
「……」
リナリーが思いっきり直球で聞いたにもかかわらず、彼は無表情のままだ。
…あれ?無反応?
今初めて会ったんだし、僕の浴衣姿なんてどうでもいいんじゃ…。
ゴスッ!!
「ちょっと神田!黙ってないで何とか言いなさいよ!!」
「いってぇな!!蹴んなよ!おまえ女だろ!!」
神田の足を思いっきり蹴ったリナリーに、神田は怒鳴り散らす。
「リ、リナリー!?何やって…大丈夫ですか?」
痛そうに顔を歪める神田に歩みよるアレンだったが、リナリーにぐいっとひっぱられ、近づけなかった。
「あら、ごめんなさいね。わたしを無視した神田が悪いのよ」
「…チッ!」
『リナリー…怖い(さ〜)』←アレンとラビの心の声。