2PM

□Dance 2 Night
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「最初に話しかけられた時は近寄りにくい感じがしたんだよね」


彼女は、僕のことをそう言って、少し笑った。


「どうして?」



名無しさんに尋ねると、

いかにもかっこよくて、
女の子にもモテそうな感じだから、
そんなことを話した。



僕たちが初めて出会ったのはクラブで、

フロアの隅っこで、浮かない顔をした名無しさんに僕が話しかけたのが始まりだった。



「だって、ニックン、"僕と踊りませんか?"なんて言って手を差し出してくるんだもん。」



照れながら話す、その姿が、
ほんとに可愛くて仕方ない。


きっと、あの瞬間から、
僕は名無しさんのことが好きになってたんだと思う。


どうにかして、
彼女を振り向かせたいと思って、とっさに言った台詞。



「びっくりしたけど、なんかちょっとドキッとしたの」

わたし、ニックンに一目惚れしちゃったんだね、
名無しさんは恥ずかしそうに俯いた。


あの時のことを思い出しながら、
じっと名無しさんを見つめたら、


「恥ずかしいからあんまり見ないで」
そう言って、
手で目を隠された。


僕は目の前にある手を掴んでその手をとって口づける。


「やっ、くすぐったい」



手を離そうとする名無しさんの腕をわざと引いたら、僕の体に名無しさんが覆いかぶさる体勢になった。

きゃっ、と小さく声をあげた彼女は、僕を上から見下ろして、顔を赤くする。



「名無しさん、僕のこと襲う気?」


「ちがうもん、腕引っ張られたから」


「ほんとに?」


「もう、なんなの」


名無しさんはまた恥ずかしそうにして、僕から顔を逸らす。

体を起こして離れようとしたから、背中に手を回して、引き寄せた。


「離してよ」


「やだ」


「ニックンのいじわる」


「でも、本当はしたいんでしょ?」

「何を?」


「キス」


「わたしが?」


「いや、僕がしたい気分」



そのまま近づいてキスを落とすと、
名無しさんはくすぐったそうに少し笑った。




「ニックン?」


「ん?」


「好き」


「そんなの知ってる」


「もう…」


ふくれて不機嫌になった名無しさんに文句を言わせないように、
唇を重ね合わせて塞ぐと、

ちょっと息苦しそうにしながらも、それに素直に応えてくれる。



今夜は、
あの時よりもスローなナンバーで、
夜が終わるまで、愛し合おうか。












 

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