2PM

□ぼくらが旅にでる理由
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今日は空が青い。
肌に当たる風は冷たいけれど、
太陽の光はあたたかくって。
思わずスキップしてしまいそうになった。
春がもうそこまできてる。


わたしは、春が一番好き。
人も植物もみんな始まっていく感じがするから。
わたしも、また、新しく生まれ変われる気がしちゃう。

そんな話をしたら、
テーブルの向こう側に座る
ニックンは笑った。



「名無しさんらしいよ」


飲みかけの紅茶に口をつけて微笑んだ顔。


彼にとっては自然なんだろうけど、かっこよすぎて、こっちが恥ずかしくなる。



「どうしたの?」



「なんでもない」






ニックンはわたしを見て、
少し笑った。





「今度休みがとれたら、旅行に行かない?」





「旅行?」







「うん、僕が生まれ育った景色を、見せてあげたいと思って」






「え?」






「名無しさんなら、良さをわかってくれると思うからさ」








「休み、とれるかな?」






「頑張って、お願いしたらとれるよ」






「ニックン忙しいのに、そんなの無理でしょ」






「わからないよ?やってみなきゃ」




「うん、でも、もし、仮に行けたとしても、ばれちゃったら大変だよ?わたし達・・」





「変装すれば気付かれないよ」





「どんな変装?」




「それは名無しさんにまかせる」




「じゃあ、ニックンが女装ね」




「なんで女装?」




「冗談だってば」




「びっくりした・・・」







どんな困難なことでもやりとげらそう、そう思った。



ニックンはみんなをそう思わせちゃうような、そんな不思議な力がある気がする。



なんとなく、ぼんやりだけど、
女装したニックンと手をつないで、街を歩いているのを想像したら、笑えてしまった。







「名無しさんなんで笑ってるの」






「ん?なんでもないー」






おかしいな、っていう顔をして、
ニックンはわたしを見つめた。



旅行に行けなくても、
こうやって笑いあっていられる時間が、
わたしには幸せで、大切にしたい時間だ。




テーブル越しに目一杯ニックンに近づいて、キスをせがんだら、

少し困った顔をして、
でも、ティーカップを置いて、
わたしの顔に手を添えた。






「名無しさん、何してほしいかちゃんと言って?」







「ニックンのいじわる」






「じゃあ、しないよ?」







「やだ。キス、して?」






ニックンは、わたしに負けたみたいに、
わかった、とだけ言って、

優しく、唇を重ね合わせた。















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ニックンと至近距離!
どきどきどきどき(^ω^)
管理人は個人的にクン兄さんの女装が好きなのです(笑)
 

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