2PM
□everlasting
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「今日、嫌なことあったんだ」
「なに?」
「好きな人いるって言ってたでしょ?」
「あ、大学の先輩の?」
「その人、彼女いたんだってわかった」
「え、それって」
「おかしいのはわかってたんだけど、わかんないふりして、自分で気付かないようにごまかしてたんだけど、だめだった。」
名無しさんから連絡があったのは、午前1時くらいで、
着信音で目覚めた俺はディスプレイの名前を見て慌てて電話をとった。
今日は何も予定ないから、
せっかくだし会って話そうと言って、いつも行く店で待ち合わせることにした。
「名無しさん」
「恋人気分だったのはわたしだけだった、馬鹿みたいでしょ?」
「付き合ってると思ってたよ、2人のこと」
「泣きたいのに涙も出なかった。悔しかったし、なんか言ってやろうと思ったのに、彼の前だとなんにも言えなかった。彼の前では最後までいい子でいたかったのかな、わたし」
名無しさんのことだから、大泣きするんだろうって覚悟してたから、淡々と話す姿に少し驚いた。
名無しさんは昔からの幼なじみで妹みたいな存在だった。
友達のことも恋愛のこともとにかく何でも話して、いつも隣にいた気がする。
俺がいなきゃなにもできなかったのに、大人になってく名無しさんをみていて、少し寂しくもなった。
名無しさんの横顔を見つめていたら、それに気付いたみたいに名無しさんが話した。
「もう一杯飲んだら、帰るね」
「もういいの?」
「だって、ジュンスにずっと付き合ってもらうわけにはいかないもん」
「まだいいのに」
焦って帰らせないようにしてるみたいな俺に、名無しさんは苦笑いした。
「まだいてほしい?」
「そうゆうんじゃなくて、名無しさんが心配だから」
「ほら、今はいいけど、ジュンスにさ、彼女できたりしたら、こうやって頼れなくなるし、それに、」
「なに?」
「これ以上優しくされたら、あたし多分好きになる、ジュンスのこと」
俯いた名無しさんの顔は赤くて、泣きそうにも見えた。
「やっぱりあたし帰る」
席を立とうとした名無しさんの腕を掴んだ。
「名無しさん」
「いいの、聞かなかったことにして」
「だったら、俺の彼女になったらいいんじゃない?」
「え?」
「前から、そう思ってた。名無しさんのことが好きなんだ」
「ジュンスの馬鹿」
「兄さんに向かってそんなこと言っていいと思ってる?」
「良くないけど、ほんとに、びっくりしたんだもん」
名無しさんを優しく抱きしめた。
「答えは?」
「彼女にしてください」
「良く言えました」
「子供じゃないんだから」
ちょっと生意気で、泣き虫で、
でも誰よりも愛おしい、
いつもの名無しさんを、ずっと離したくないって、心からそう思った。