2PM

□さいしょのキスはりんごサワーみたいな味
1ページ/1ページ


観たかった映画をわざわざレンタルしてきたっていうのに、
わたしの瞼は今にも閉じてしまいそうだ。

だいぶお酒がまわったのかな。


もうギブアップとばかりにソファに横になると、

隣で真剣にテレビを見つめていたジュノに睨まれた。



「だれが、これ見たいって言ったんだった?」



「あたし」


「もう眠いの?」


「なんかちょっと酔っちゃった」


そのまま眠りについてしまいたい勢いのわたしは、足をソファにあげた。


「ちょっと、邪魔」


簡単にわたしの足は床におろされる。




「そんな眠いなら、ベッド行って?」


「えー、ちょっとだから…」


「だから邪魔だって」


ジュノはいやいや言ってるわたしの体を起こす。


ひどい睡魔と戦うなかでも、
ふと、体を起こされている自分が、ジュノに抱きしめられていることに気がついた。


変に固まっているわたしを見て、ジュノは怪訝な顔つきをしている。



「どしたの?」


「…だって、その…、ぎゅってされたから…」


「え?」


ジュノは、突拍子もないことを言われたみたいで、わたしの体から腕を離した。





「なんで酔っ払いのくせにそうゆうとこだけ意識すんの」


「なんか、うれしかったんだもん。」



ジュノはわたしの顔を見ないで、また、テレビに目を向けた。


もしかして、照れてる?


ずっと友達で、ずっと一緒にいたから、なんとなく、馴れ合いの関係だったけど、
最近のジュノ、かっこよすぎるよ。


こんなことされて、意識しないほうおかしい。


「ジュノ、かっこいいんだもん。あたしだって女の子だよ?どきどきするよ」


酔ってるせいなのか、いつもよりもストレートすぎるくらいに口に出している自分がいた。


ジュノは、少し俯いて表情はよく見えないけど、耳が真っ赤になってるのはわかる。



「ね、名無しさん」


「なに?」


「そんな可愛いこと言ったらだめでしょ」


「え?」


「…したくなる」


「な、なに?」




ジュノはわたしをぎゅっと引き寄せて、キスをした。



一瞬の柔らかい感触に、わたしの胸は、さらにどきどきが増している。


映画はクライマックスを終えて、エンドロールが流れていた。



「映画終わっちゃったね」



テレビのほうを向いているジュノに話し掛けると、「うん」とだけ、返事が帰ってきた。


「あのさ、今日は俺も飲んじゃったし、送って行けないから…、泊まってけば?」


リモコンでDVDの操作をしながら、ぶっきらぼうにジュノは言った。


「あ、エッチなことする気でしょ?」


「違うから」


「えー、あやしい」


「……」


「いいよ?あたしだって、そのつもりで来たんだもん」


冗談のつもりで言った言葉は、
8割方本気と捉えられたみたいで、


ほんとに照れながら、わたしのことを見つめたジュノは、「名無しさんがそうゆうつもりだったならそうする」なんて、真面目な顔して言った。


わたしの酔いはとっくに醒めてしまって、
どきどきがおさまらない頭の中では、「新しい下着にすればよかった」なんて、今更になって後悔していた。




















‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「昔からの友達同士が一線を越える日」がテーマでした(笑)
なんかエロくなってしまいました…(後悔)
じゅのくんが、かっこいいのが悪いんだ←
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ