2PM
□snowscape
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お店から出たら、さっきまで雨だった空からちらちら、雪が降っていた。
「チャンソン、雪ふってる」
「ほんとだ」
「いいね、ロマンチック」
「彼氏もいないのに?」
「うるさい、それはお互いさまでしょ?」
「まあ、そうだけど」
「やっぱり寒いね」
ポケットに入れようとした手をつかまれて、握られた。
「なにすんの?」
「だって寒いんでしょ?」
「え?」
「たまには俺にもいい思いさせてよ」
わたしはどきどきしていた。
平気な顔して、いかにも迷惑みたいな表情をしてたけど、さっき飲んでたアルコールが全部抜けちゃうくらいだった。
「ねえ名無しさん、なんでさあ、ジュンス兄さんなの?」
チャンソンは間延びした声で、
わたしの顔を見ないで言った。
さっきのお店で、わたしが付き合うなら誰がいいか聞かれて、言った答えをまだ引きずっているらしい。
「なんでかな、かっこいいもん」
「あっそ」
「あっそってひどい」
チャンソンとは、友達だ。
とにかく趣味が合うから一緒に話していても楽しくて、冗談も言えて、楽しい時間をくれる。
わたしは、もしかしたらそれ以上の関係を望んでいるのかも知れないけど、言わない。
この関係がなくなってしまうのが、とっても怖いから。
「名無しさん」
「うん?」
「もう、俺らいい加減そうゆう関係になってもいいんじゃない?」
「え?」
「ほら、いつも飲んで、遊んで、一緒にいるけどさ、なんか、やっぱり名無しさんのこと好きなんだ」
普通にチャンソンの顔が見れなくて、思わず俯いた。
握られていた手の力が強くなった気がした。
「やっぱりジュンス兄さんがいい?」
「ちがうよ、わたし前からチャンソンが好きだったよ」
言った。言ってしまった。
もう、伝えなきゃ伝わらないって思ったから。
チャンソンは、少し驚いた顔をして、わたしを見つめる。
「今日から俺の名無しさんだからね。兄さんとこ行ったらだめ」
ぎゅっと抱きしめられた。
チャンソンの体温を感じる。
「名無しさん、ありがと」
「え?」
「俺のこと選んでくれて」
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