2PM

□Hurt
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「もう、自分が嫌になる。あんなに好きだって言って、いつも一緒にいたのに、ひどいよね」

「うん」

「彼が好きでどうしようもなかった」

「うん」

「わたし、どうしていいのか、わかんないよ」

「うん…」



きっと名無しさんはつらいと思う。
でも聞いてる俺も胸が苦しくなる。

聞いてるほど、聞けば聞くほど、その人のことが好きなんだってわかるから。


「キス、したんだよ。別れる前の夜にね、ずっと一緒だからって言って」

「そう、」

「…なんかわたしって相当馬鹿みたい」


顔は見なくても、わかる。
言葉に詰まりながら話す声が痛々しい。


今俺が、名無しさんのことを抱きしめて、
ずっと好きだったって伝えたら、名無しさんはその人のことを忘れてくれるんだろうか。


きっと違う、そう思う。


名無しさんは、その人と、どんな時間を過ごしてたんだろう?
名無しさんは断片的にしか話さないから、余計に考えさせられる。


どんな風に笑いかけていたんだろう?
どんなデートをしたんだろう。
どんな声で甘えたんだろう。
キスした時は恥ずかしそうに俯いたんだろうか、


俺にはわからない時間が2人の間にあって、
消えることがないと思ったら、眩暈がした。




「ごめんね、わたしばっかりこんな話しちゃって。ジュノからの話聞くんだったのに、」

「いいよ」



俺は今日、名無しさんに想いを伝えようと思った。
彼と別れたって話も聞いてたし、実際のところチャンスだって思ってた。




「俺は、名無しさんの力になれないかな」

「え?」

「名無しさんが辛いのは、俺も嫌なんだ。だから、」




気付いたら名無しさんを抱きしめていた。

俺だって、好きだから。
このまま、何も言わないで終わるわけにはいかない。


「ジュノ、あたし…」

「好きなんだ、名無しさんのこと」



抱きしめる腕の力を強くした。
名無しさんが離れていかないように、今だけはそばにいて欲しかった。




「答えはすぐに聞かないから、名無しさんの気持ちが落ち着いたら、その時でいいから」




「ごめんね…」







胸が痛い。
こんなにも近くで名無しさんの体温を感じているのに、
どうして、こんなに苦しくなるんだろう。



ただ、想いだけはどんどん強くなっていく。
























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