短編小説

□LaznaS ーラズナスー
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LaznaS


「こっちこっちー」

高層ビルの屋上から、イワが嬉々とした様子で空に手を降りながら、俺達を呼んだ

「あれ?キカだ。どうしたの?」
「今回は俺も手伝うよ」
「ふーん…。」
「どうだ?依頼主だけか?」
「今1人になったよ!小学生だからね、どう動くか判らなよ?!気を付けて」
「そうだな。じゃあ俺が行くから、様子見ながら降りてこい」
「オッケー」
「わかった」


弟達の返事を聞いて、1人マンションの5階にあるベランダ目掛けて飛び降りたのだった




さて、窓は開いてるから普通に入るとして、多分騒がれるよな…子供苦手なんだよなあ…
でも、親父に急かされてるから、時間も掛けてらんないし……行くか

覚悟を決め、子供部屋と思われる部屋で、1人机に向かっている少年へと近付いた


「こんにちは」

俺の呼び掛けに驚いたのだろう少年は、サッと振り返ると睨み付けながら言う

「お兄さん誰?僕、玄関の鍵ちゃんと閉めたのに、何でそんな所にいるの?何で、物音すらしなかったの?」

あれ?意外と冷静だな
普通なら、叫んだり、モノ投げられたり、逃げられると思ってたのに、
覚悟を決めていた分、肩透かしをくらった気持ちになったが、好都合なので、冷静を装ってくれている間に、少年の疑問全てに答えた


「俺はミザ。玄関の鍵が閉まってるかどうかはわかんないな、ベランダから来たから」
「はっ?ベランダ?!そんなジョーダン止めてよ!ここ、5階だよ!?子供だからってバカにするな!」

当然の事を言う少年に、外を見るように、ベランダへ向け指をさした

「うそ…だ……」

指し示した方を向いた少年が、震えた声で呟くように言った

「こうやって来たんだわ」
「やっほ!オレはイワ!で、こっちの奴がキカ!オレ達ミザの弟だよ。よろしくね」

ベランダに空から降りてきた、イワとキカを見て愕然としている少年の、最後の疑問に答えた


「あと、物音がしなかったのは、俺達が人ではないからだな」
「……え?」
「少年、いや、遥斗」
「何で…僕の名前……」
「お前、神に何度も強く願っただろう?」
「あっ……」
「俺達は、神の使いだ。お前の願い叶えてやるよ」
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