神様の12の使い魔
□Imuzenー イムゼンー
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「あーぁーー・・・、暇だ」
担当年であるにも関わらず、突然父である神から暇を当てられ、初めての事態にどうしたものかと悩んでいると、座っているオレの頭上からそこそこ聞きなれた声が降りてきた
「暇は嫌か?」
「…ミザ」
頭を上に向けると、ニヤニヤとこちらを見下ろしてくるそいつの名前を呼んだ
「まあ、そうだろうな。エスにとっては初めての事だ」
「てか、オレが休んでたら願いを叶えられないだろ?」
「ああ、それは問題ないな」
「何で?」
「チビ達が変わりにやってるから」
「はっ!?」
寝耳に水とはこの事だ!
自分の変わりに他の家族が動いているなら、神の命令だとしても聞いてなどいられない
「あ、そういえばウリからの伝言」
「?」
「『もしも休まずに手伝いに来ようものなら、休暇期間の延長を父に要求するからな』だって」
「え?」
「年始以来久しぶりに会ったけど、相変わらずだったな」
楽しそうに話すミザとはうって変わり、オレの気持ちは中々のダメージを受ける
「え?何で?オレ暇なの嫌なんだけど…」
それを知っているはずの家族に、そこまであからさまに暇を渡されると流石に傷つく
「だからだろ?」
「何が?」
「お前がいつもチビ達を手伝うから、あいつらも申し訳なくなるんだろ?」
「・・・構いすぎた?」
「間違いなく」
自分の周りの担当年が、小さな家族がゆえに、どうしても気になり手を出す事もしばしばだったのだが、それが余計な気を使わせる事になっていた事を知り、更に落ち込む
「あいつらも、神の使いだ」
「ああ」
「大変な時はちゃんと自分で声掛けてくるだろ?」
「ああ」
「エスの立場上わからなくはないけどな。あと、可愛いと甘やかしたくなるし」
「それ、ミザが言うと重みが違うわ」
「だろ?」
三兄弟の長兄であるミザの、弟たちへの溺愛っぷりは、家族の知ったるとこだ
「まあ、そんな俺からしてもエスは構いすぎ」
「・・・こういう話を、家族の中でミザに言われるのが一番刺さる」
オレがウリ達に対する程、ミザは兄弟に構っていないのは確かだった
あの厄介なイワとキカがあれだけ懐いているのだから、兄としての振る舞いが上手いのだろう
「認めると尚更落ち込んでいくんだけど」
「まあまあ、そんなエスにとっておきを用意してやったから」
「え?何?何か凄い嫌な予感するんだけど」
「大丈夫大丈夫!もうすぐ来るから」
「は?来る?」
嫌な予感と嫌な言葉に、急いで警戒心を露にしたのだが、時既に遅し、そのとっておき達は続々と人の家に集まって来たのだった