神様の12の使い魔

□U.R.I ーユーアールアイー
1ページ/5ページ


「はぁ・・・」


暗くなり始めた空を見て、大きく一つ溜め息をついた後、目の前を歩く少年に声をかけた


「帰らないの?」
「さっきからうるさい!付いてくるなって言ってるだろ!」


目の前で悪態をつく、高校一年生にしては似つかわしくない髪の毛の色をした少年は立ち止まり、言葉とは裏腹な表情で振り返った


「どうせ外にいたって、やる事ないんでしょ?」
「か、勝手に決めるな!もうホント付いて来るなって!お前連れてると補導されるだろ!?」


わたしの見た目が明らかに小学生にしか見えないから、そう危惧しているのはわかるのだが、根本に気付いてないようなので、一言伝えてやる


「リュウ一人でも補導されるぞ」
「!!」
「とりあえず今日は帰ろう」
「勝手に決めるな!」
「あのさ、わたしに逆らわない方が賢明だって理解してるだろ?」
「ぐっ!」


ここ数日の間に、わたしが神の使いである事を身をもって教えてやった事で、引き際を理解し始めたらしい少年は、その一言で諦めたのか、静かに家に向けて歩きだした



「お前いつまで俺らの周りにいるんだよ?」


さっきまでとはうって代わり、落ち着いた声でこちらを振り向く事なく解りきっている事を聞いてくるので、わたしが一番引っ掛かった事を突っ込んでやる


「さっきからお前お前って言ってくるけど、わたしの名前はウリだから。次お前って言ったらどうなっても知らないよ?」
「お、おま、な、神の使いがそんな事言って良いのかよ!?」


どうなるのか予想がついたらしいリュウは、慌ててわたしから距離をとった


「ウリって名前は父がくれた大切な名前なんだよ。リュウだってそうだろう?」
「・・・・・・」


全くーーー。


何とも言えない感情を悟られまいとして、表情を隠すように下を向いた少年の拳は強く握り締められていた


「人とは、本当に回り道ばかりだな」
「え?」
「何でもないよ。リュウの両親も心配するだろう?帰ろう」
「別に・・・心配なんか・・・」
「するよ」
「!」


否定の言葉を言い切る前にそれを遮り、少し強めの口調で言ってやると、リュウは一瞬驚いた後、何も言わずに家路を急いだのだった
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ