神様の12の使い魔

□Shibaーシバー
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「てなわけで俺一旦離れるから」
「何で?」
「だから、父さんが呼んでるんだって」
「神様と使い魔なら会わなくても話が出来る方法とかないの!?」
「あるけど、そういう訳にもいかないんだよ」
「何よ!私を・・・、1人にするの?」
「・・・」
「1人が嫌なんだ?じゃあシバの変わりに俺がいるよ」
「「!!?」」



最初の強気な態度とは一転、最後の言葉は近くにいても聞き取れるかわからないほどか細く弱気な態度に変わった桜に、何と声を掛ければ良いか悩んだ時、庭先の空から思いもよらない姿が現れた



「何でお前がここに来るんだよ?キカ!」
「呼び出しても中々来ないから、様子を見てこいって父さんに言われたからだけど?そんな事もわかんないの?」
「っ!!」


相変わらず何を考えているのかわからない飄々とした態度で、若干の嫌み混じりに話をしてくるキカに言葉を詰まらせた



「だ、誰?」
「ああ、俺とは別の神の使い魔だ」
「シバの家族って事?」
「まあそうなるな」


俺たちのやり取りを不安そうに見ていた桜が痺れを切らしたのか、俺の服の裾を軽く掴み小声で確認をとってきた


「ちなみに、キカの前では内緒話とか通じないから」
「え?」
「俺聞こえるんだよね。だから、気になる事があるなら直接聞いて」
「俺が一番聞きたいわ!何でよりによってお前が来るんだよ!?」
「そんなの、今のシバには絶対わかんないよ」
「は!?」
「もう良いから。早く行ってくんない?」
「っ!!」
「シバ・・・」
「桜」



喧嘩のように見える言い合いに不安を露にした桜が、掴んでいた俺の服の裾を更に強く握り締めた事により、少し冷静になれた



「あのな桜、こんなやり取りの後に言うのもなんだけど、キカは使い魔としてはちゃんとしてるから、一緒にいてもらえ」
「何で!?依頼主の側にいる事は大事じゃないの?」
「大事だ。けど、それよりも大事な神からの呼び出しなんだ。すぐ戻るから、な?」
「もういい!早く行けば」


拗ねたようにそっぽを向いてしまった桜の頭を軽くポンポンと叩いて、キカへ視線を向け


「頼んだぞ」


一言だけ声をかけ、神の元へと急いだのだった
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