神様の12の使い魔

□I ro T ーアイロティー
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「お願い神様!お祖母ちゃんを助けて!」


病院の個室で、ベッドに横たわる祖母の側で、両手を握り締め、祈り続ける高校生の女の子を、夕暮れ時の空から見つめながら、ピッピは言った



「いた」


そして、強い願いに引かれるように、その病室の窓目掛けて勢いよく飛び降りたのだった




ドンッ!!!!!


「痛っ!!」
「!!!」
「窓締まってた」


勢いをつけすぎ、窓にぶつけた額を擦りながら、恥ずかしさに俯き、思った事をポツリと口にした


「時間帯的にまだいけると思ってたのにな。もう変えないと無理か・・・」



そう言って、鍵が掛かっている窓に触れ、そっとその手を引いてやると、はじめから鍵など掛かっていなかったかのように、窓は静かに開いた


その様子を女の子は、声も出せない程驚いて見ていたので、それ以上の衝撃を与えないように笑顔で話ながら、ゆっくりと病室の中へと足を踏み入れる


「驚かせてゴメンね?俺こっちの夜は目変えないと駄目なんだけど、まだ大丈夫だと思ってて」
「・・・っ!」


病室に入り、ぐるりと病室内を確認した後、小さく頷き、困惑しつつも、祈る手を離さない女の子へと近付いた



「とりあえず、おいで」
「え?」


動けずにいた女の子の頭へ、掌を乗せると、突然女の子は眠るように瞼を閉じたのだったーーー。







「ねぇ、それが本当の願い事?」
「えっ?」


ピッピは必死で祈る女の子の前で、不思議そうに聞いた


「あれ?!ここ、どこ!?あなたは誰・・・?」


女の子は、ピッピの声で目を開き、目の前の存在と、先ほどまでとは明らかに違う、何もない真っ白な空間に戸惑いを露に、後ずさった


「そうだね、まずは自己紹介をしよう。俺はピッピ。そしてこの場所は、異空間とでも言えば良いかな?」
「異空間?」
「そう。桃と、ゆっくり話したかったから、来てもらったよ?」
「ちょっ、ちょっと待って!?何で名前?!はじめて会うよ・ね・・?」


ピッピから出る言葉、全てに引っ掛かるなか、初対面のはずの相手が自分の名前を知っている事に、一番の違和感を感じ、話を止めた



「会うのははじめてだね。ただ、ここ数日俺は桃の事見てたけど?」
「えっ・・・、何で?どこから?」



どんどん慌てていく桃を落ち着かせるため、ピッピは話の核を話す事に決めた


「桃さ、毎日神に祈ってるでしょ?」
「あ、うん」
「それがあまりにも漠然とし過ぎてて、父さんが気にして、様子を見て来いって言うから、ここ数日桃の事見てたんだよね。だいたいその辺で」


そう言って、桃の隣辺りを指差すと、桃は思いっきり首を横に降った


「それはないよ!?だって、誰もいなかったもの!」
「それは、姿を見せないようにしてたからそうだろうね」
「待って、私本当に、キミが言ってる事が、何一つ理解出来ないよ」
「それはそうだろうね。手っ取り早く話すと、俺の父さんっていうのが、神様と呼ばれる存在なんだ」
「え?」
「という訳で、桃の本当の願いが決まるまでもう少しここにいるから、ヨロシク」
「え?え??」


何一つ理解出来てない桃をそのままに、ピッピは笑顔で桃の手を握ったのだった
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