クラウン×クラウン
□第二章
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「あぁ、外はあんなにいい天気なのに…僕の心は憂鬱だ……。」
レイスから宛がわれた客室の部屋に備え付けられているバルコニーの手すりに両腕をかけボーっと空を見上げながらロアは一人愚痴た。
「意味わかんねーよ。つか鬱陶しい!」
「いたっ!」
アルゼル国に滞在する間は人型でいる事を義務付けられたリトは不機嫌を露にロアの頭を小突いた。
「リトが腹立てる意味がわかんないんだけど!?別に人型で居続けても何て事はないじゃないか。僕の憂鬱に比べればリトの不機嫌の理由なんか………ゴミだ……」
「いや、言い過ぎだろ!
人型だと自由に好きな所に行けないから鳥でいる方が楽なんだよ。しかもレイスの命令に従うのが腹立つ!だいたいな、ロアの方が悩む必要ないだろ!?」
「何で?」
「ヒスに会ったとしても今のお前はロアだろ。ロアナじゃない。」
「!!」
リトの言葉に今まで沈んでいた表情が瞬く間にいつもの表情に戻った。
「そうか…!僕はロアだ!きっとヒスは僕に気付かない!なんだ、何も悩む必要なかったのか!」
清々しく言い切った後不意にリトを振り返り淡々と言う。
「僕はもういつも通りに戻ったからリトもそろそろ機嫌直してくれない?不愉快だ。」
「どんなけ勝手な言い分だよ!俺だってさっきまで気分が悪かったっつーの!」
「お互い様じゃないか。」
「………」
何事もないように言うロアを呆れたような表情で見ながらリトは言った。
「性格変わったよな?」
「リトのせいだね。リトも性格変わったよ?柔らかくなった。」
「ロアのお陰だ。……何て言うと思ったか?」
「あははは。別に言って要らないけどね。言葉なんていらない。」
楽しげに笑いながら言うロアにリトも釣られて笑いながら言う。
「まぁでも、変わった自覚はあるな。」
その言葉にロアも言う。
「僕も自覚はあるよ?今の自分が楽しいんだ…。」
「…だろうな。」
「リトだってそうだろう?」
「…あぁ。」
「ははっ!」
「ふっ!」
お互いが機嫌を損ねていた事を忘れてしまったように笑っていると、部屋のドアをノックする音が響いた。