短編小説

□スリーピングトラベル
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『また誰かの物語が開いた…』


【ストーリー0 始まりの眠り】


麗らかな春の日差しが心地よく届く窓際で昼ご飯を食べ終えたばかりの5限目の授業はかなり眠い。
付け加え1番後ろの席ともなればまるで『寝なさい。』と言われているとしか思えないと考えながらも辛うじて成瀬零は起きていた。
だいたい数学っていうのがさらに眠気誘うんだよなぁ…
数字の羅列聞いて…
子守歌にしか……
きこ……えない……

フワァ〜〜と大きな欠伸と共に零は眠りに落ちたのだった。


「……、………あれ?ここ何だ?」

目を覚ました零は周りをキョロキョロ見回した。

「俺…、教室に居たよな……?!何だよここ……」

見回しても何一つ把握出来ない程の暗闇の中に1人ポツンと立っていた。
そんな中出した結論は、
「あ、夢か。そういえば結局俺授業中寝たなぁ。ハハハ」
かなり楽観的だけどもっともな答えだったのだが最後の笑いに被せるように
「間違いじゃないけれど正解でもないわ。」
女性の声が聞こえて零の出した結論を中途半端に否定した。

「誰だ?!」

真っ暗だった視界が微かに明るくなる中1人の女性が歩いてきて零の前で止まり声を掛けた。

「私はここ中間の世界の門番アリス。ようこそ成瀬零。」

表情一つ変えず零に挨拶をするアリスという女性は真っ黒な服に腰までありそうなストレートの長い髪に整った容姿をしていた。
自分とたいして歳が変わらないであろうと推測できたアリスの言葉をもう1度頭の中で繰り返すとかなり引っ掛かる。

中間の世界?門番?
なんだよそれ!
それよりもこいつ……
「何で俺の名前を知ってるんだ?」
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