*企画部屋

□■Honey & Love
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――市場。


真面目な頼忠の拙い嘘に
天下の翡翠が気付かない訳は無いが。
勝真の所在が解らぬ以上、
仕方無く市場を見回ってみる。

神子のおかげで京仲が良くなり、
歩きやすくはなったのだが
やはり自分は目立つらしいな、と
翡翠は人々からの視線に苦笑を隠さない。


「あれ、翡翠か?
こんなとこで何してるんだお前」

「おや、イサト」

市の真ん中辺りで翡翠は
赤い髪の少年に声をかけられ、
聞き慣れたその声の方を振り向いた。


「勝真を探しているのだよ」

君は知っているかい?と
あからさまに困った、と言う風に
翡翠は肩をすくめて見せる。

しかしイサトは一度俯いた後、
苦笑しつつ軽く頬を掻く。

「や、知らないぜ
でも確か神泉苑辺りに行くって…」

「神泉苑?」

これまた遠いなと呟きつつも、
「すまないね」と言い残し
翡翠は教えられた場所へ踵を返した。


「(翡翠は行ったし…
俺もそろそろ花梨たちのとこへ行くか)」

翡翠の後ろ姿を確認して
イサトは『ケーキ作り』とやらに
苦戦している仲間の元へ向かう。





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