*企画部屋
□■子供の日
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――友雅の場合
「天真、今日は子供の日らしいね」
いつもながら唐突に
縁側で陽を浴びている天真に
友雅は扇を広げて、声をかけた。
「ん?ああ、そーいやそーだな」
こちらの世界に『子供の日』など
あるのかは全くもって知らないが
大方あかね辺りに聞いたのだろう、と
未だ気持ちよさげに天真は
陽を浴びながら、適当に応えてみせる。
「(つーか子供の日って
具体的に何すんだったっけ)」
あまり行事ごとに関心が無いらしい
天真が心の中で軽く首を傾げていると、
後ろから友雅が、
ふわりと自らの衣で
つれない恋人を抱き寄せた。
「何してんだよ、オッサン」
当然の如く、昼の至福の時間を
邪魔された天真は、考えをやめて
軽く後ろに居る男に毒を吐く。
「神子殿が、
今日は1日天真とゆっくりしてくれと
暇を与えてくれたんだ」
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