*遙時
□■侍従
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いつの間にか
すうすう、と可愛らしく
彼は縁側で寝息を立てていた。
「おやおや、いくら暖かいとは言え
そのままでは風邪を引いてしまうよ」
暇そうにしているだろうと
神子殿との祭を抜けて
屋敷に来てみれば
当の本人は夢の中へと
旅立ってしまっているようだ。
普段見せない表情に
悪戯心が芽生えてしまう。
「ふふっ、仕方無いね
共に君の夢路へとお連れ願おうかな」
ふわり、と
天真を抱き上げて柱へと背を預ける。
自らの衣で包むように
そっと抱いてやれば
仔猫のように擦りよって
つい私は溢れる笑みを隠せない。
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