*物語

□■籠の中
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数刻…――。


…がさり、

今まで鳴いていた
虫や鳥の声も止むほどの殺気が
物音と共に溢れ出てくる。

ぐっ、とクナイを持つ手に
カカシは力を込めた。
これほどの殺気、油断すれば
任務帰りで負傷している自分も
ただでは済まない、と言いたげに。


「久しぶりですね、カカシさん」

警戒していたカカシの耳に届いたのは
意外であり、出くわしてはいけない
最悪の人物の声。

――イタチ、

敵対している暁という組織の一人。
自分の生徒であるサスケの兄で、
未だ尚サスケを苦しめる根源…。


「イタチ…、ここで何をしてる」

クナイから手は離さず、振り返り
相手を注意深く仰ぎ見れば
思った通りの男が
自分から数歩離れた場所に立っていた。


「血の匂いがしたので…
美味しそうな、味わい慣れた匂いの…」

そんなカカシを見て
ク…、と人の悪い笑みを喉で鳴らし
イタチは自分の指を舐めてみせる。


「気のせいだ、」


一歩、退がる。





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