*企画部屋
□■うたた寝
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それは、とても幸せな時間
―――――うたた寝
春の桜霞む京屋敷。
ふと辺りを探してみても、
いつもは部屋で
薬湯などを煎じている
弁慶の姿が見当たらない。
「今日は出掛けないと
言っていたのに…、…弁慶ー?」
昼時、九郎は軽く大きな声を
出してはみるものの、
目当ての人物から返答は返らず。
「弁慶、居ないのか?
弁っ…、ぅわっ…!?」
庭の見える縁側を
キョロキョロと世話しなく
視線を泳がせ、歩いていた九郎は
下に転がっていたものに気付かず、
危うくその上に覆い被さる所だった。
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