*物語
□■籠の中
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いつまでも続く囚われの心。
―――――籠の中
降りしきる雨が、
乾いた木の葉の里の地上へと
容赦なくその粒を弾かせていた。
血の匂いをかき消すように、
ゆっくりと、確実に
灰色の髪をした男――カカシの体を
雨滴は流れていく。
「とりあえず任務完了なんだけど…
…そこの岩影に居るのは、誰だ」
人気の無い、ましてや
誰も出歩かない深夜の時刻に
気配を殺して隠れているとなれば、
十中八九、敵だろう。
カカシは見えぬ岩影の相手に問いつつ、
悟られないように、するりと
クナイのある腰へ指を這わせた。
いつ戦闘が起きても、問題は無い。
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